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自動車部品各社、韓国からの調達に懸念

在庫積み増しや代替サプライヤー探す動きも
 日韓関係が悪化する中、日本の自動車部品メーカーが韓国からの部材調達をめぐって対策に乗り出している。ファルテックは韓国から調達している内装部品用樹脂部材の代替先を日本で探す検討に入った。アルファは自動車鍵の部品の在庫を積み増す。両国は互いに輸出管理を厳格化しており、その影響が自動車のサプライチェーンにも波及するのではないかとの懸念が背景にある。

 九州の自動車部品工場は地の利を生かして韓国から部材を調達することが多い。ファルテックは、特定の内装部品で採用する樹脂材料を韓国のサプライヤー1社から調達している。「今のところ(日韓対立の)影響はない」(同社)とするが、今後対立が深まり輸出入の管理がさらに厳格化されることを懸念して、日本国内で代替サプライヤーを探している。既にコストや品質などが同程度のサプライヤーを見つけたという。

 アルファは自動車鍵を構成する部品の在庫量をこれまで数週間分としていたが、2―3カ月分に増やす方針だ。韓国のサプライヤーから自動車鍵の主要部品を調達しているが、調達が滞った場合を想定して在庫を積み増す。

 ヨロズも韓国から調達する部品の在庫積み増しを検討する。日本政府は7月に半導体材料の対韓輸出規制の厳格化措置を発動。8月には韓国を輸出管理上の優遇措置対象国から外し、幅広い品目が対象となった。

 9月18日には韓国政府が輸出管理上の優遇対象国から日本を除外する措置を実施した。日本政府による対韓輸出管理強化への事実上の対抗措置で、日本への輸出手続きを厳格化する。

 対抗措置の応酬で日韓対立は深まっており、自動車部品メーカーの間で警戒が広がる。大和総研経済調査部の鈴木雄大郎エコノミストは、現時点で自動車のサプライチェーンに影響は見られないとしつつも「韓国からの輸入については、短期的な在庫の積み増しや代替調達は必要になるかもしれない」と指摘する。
(文・渡辺光太)
日刊工業新聞2019年9月19日

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