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キャンペーン連発で登録者1250万人、「ペイペイ」2年目の野望

多機能アプリに進化へ
 ソフトバンクとヤフーが共同出資するスマートフォン決済のペイペイ(東京都千代田区)が10月5日にサービス開始1年を迎える。9月13日時点の登録者数が1250万人に達するなど積極的なキャンペーンで日常生活に溶け込むことに成功した。次の目標は「単機能の決済アプリでなく、多機能のスーパーアプリを目指す」(中山一郎社長)ことだ。(文=編集委員・水嶋真人)

 「スマホを介してさまざまなサービスを提供できるスーパーアプリは世界の潮流だ。ペイペイを通じて便利になる事例を具体的に示していく」―。中山社長は13日に都内で開いた「ペイペイ1周年記者発表会」で、今後の重点施策を説明した。

 ペイペイは2度の100億円キャンペーンの後も、業態を絞った各種キャンペーンを継続。4月以降は「ほぼ毎週、大型加盟店での利用やキャンペーンのプレスリリースを出した」(中山社長)。全国20カ所の営業拠点にいる数千人の営業社員を駆使し、ほぼ全てのコンビニエンスストア、9割以上のドラッグストア、全国のスーパー5000店舗以上で利用可能にした。

 9月11日には米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」でペイペイが利用できるようになった。30日には約300自治体の水道など公共料金の支払いに対応。政府が10月に始める「キャッシュレス・消費者還元事業」に連動し、最大10%のポイント還元が受けられるキャンペーンを始める。

 ペイペイを使える実店舗が増え、利便性も向上する中、次の狙いはオンラインサービスでの利用増だ。年内にDiDiモビリティジャパンのタクシー配車アプリとの連動キャンペーンを予定。ヤフーが買収する衣料品通販サイト「ゾゾタウン」でも利用可能にするなど、ペイペイの利用用途が広がる見込み。ペイペイIDを通じソフトバンクグループのさまざまなサービスとつながることで、日常に必要なことが全てスマホでできる“最強アプリ”への進化を目指す。
日刊工業新聞2019年9月13日

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