ニュースイッチ

国産初の補聴器メーカーがベトナムを支援する理由

リオン、加藤公規経営企画本部長に聞く
国産初の補聴器メーカーがベトナムを支援する理由

適切な聴覚検査を支援する

 リオンは国産初の補聴器メーカー。2015年からベトナムで、難聴者の早期発見といった救済や、聴覚検査機器・補聴器の普及を目的とした社会貢献活動を始めた。支援の必要性や取り組みを加藤公規経営企画本部長に聞いた。(聞き手=西東京・茂木朝日)

―なぜ、ベトナムでの支援に至ったのでしょうか。

「2014年に当社役員が関西の医師の視察団とともに、ベトナムの複数の病院を訪問したことに端を発する。同国内には聴覚障害者が100万人はいるという。そうした環境にありながら、正確な聴覚検査によるフィッティングや機器が普及していなかった。そのため、適切な聴覚検査システムを構築することが必要と判断し、支援することになった」

―具体的にどのような事例がありますか。

「16年にベトナム最大の総合病院、ハノイ・国立バックマイ病院内に『日越聴覚検査センター』、『補聴器フィッティングルーム』の開設を支援した。検査から補聴器の試聴までできる一貫体制にした。オージオメータ『AA―M1C』をはじめ、インピーダンスオージオメータ、耳管機能検査装置、OAEスクリーナーなど、合計7台の当社製品を無償提供している。駐在技術者が機器の使用指導を行った」

「国際協力機構(JICA)の『民間技術普及促進事業』に採択され、16―18年の2年間、人材育成などに取り組んだ。一例を挙げると、時期はそれぞれ異なるが、バックマイ病院の耳鼻科医師4人を日本に呼び、奈良県立医科大学で2カ月半の長期研修を実施した」

―今後の展望は。

「ハノイ、フエ、ホーチミンの主要な国立・市立病院で協力体制が整ってきた状況を踏まえ、今後は傘下の病院にも増やしていきたい。さらに、ベトナム国立労働・環境衛生研究所(NIOEH)と労働者に対する健康診断活動などについて協力していく予定だ」
日刊工業新聞2019年9月11日

編集部のおすすめ