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新幹線の「脱線防止ガード」がさらに前進

JR東海が敷設が難しかった部分の新工法を開発
新幹線の「脱線防止ガード」がさらに前進

無道床橋りょう部に敷設した脱線防止ガード

 JR東海は2009年から東海道新幹線で進めている脱線・逸脱防止ガードの敷設について、レールにバラストがなく橋けたで支える構造の「無道床橋りょう部」など、敷設が難しかった部分の敷設工法を開発した。無道床橋りょう部は枕木で脱線防止ガードを固定するため、強度の確保が課題だったが、専用の枕木を開発。端部に連結板を設置して前後の枕木に荷重を分散し、敷設を可能にした。9月から敷設する。

 脱線防止ガードは枕木に穴を開けて固定するが、専用枕木はあらかじめ固定部を設置した設計。穴を開けて固定する枕木より、耐荷重を4―5倍上げた。これにより東海道新幹線の路線延長596キロメートルのうち27・5キロメートルの無道床橋りょう部で敷設が可能になった。

 このほか、無道床橋りょう部の脱線防止ガード施工に合わせ、保線時にねじくぎの打ち替え作業を省略できる可動式のレール固定部材(タイプレート)を開発。レール位置の補正作業時間を、従来の3分の1に短縮できる。

 また、レールの温度変化による伸縮を吸収するため、2本のレールが重なる構造の「伸縮継目部」でも、脱線防止ガードの固定部材とレールの固定部材を一体化。これらの技術開発で東海道新幹線全線で脱線防止ガードが敷設可能になった。
日刊工業新聞2015年09月02日 建設・エネルギー・生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
特に新幹線周りのノウハウはオペレーター(JR)がほとんどを持っている。パッケージのインフラ輸出はもちろんだが、協力企業と連携して個別技術も海外展開してもらいたい。

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