ニュースイッチ

手袋製造の中小企業が世界最小クラスの車いすを開発した舞台裏

スワニー、介護・福祉のレンタル業者に提案
手袋製造の中小企業が世界最小クラスの車いすを開発した舞台裏

「利用者の声が大きな財産」と話す三好相談役。車いすは「Swany Mini」

 スポーツ用グローブなど各種手袋を製造・販売するスワニー(香川県東かがわ市、板野司社長、0879・25・4101)。世界最小クラスの車いす「Swany Mini」を開発し、2014年に新事業に参入した。

 三好鋭郎相談役は02年にポリオ(小児まひ)の後遺症で車いすを使い始め、「日常生活の中でいろいろな場所に車いすがぶつかってしまう。もっとコンパクトなものがほしい」と開発を決断した。これまでに主に個人向けに約2000台を販売している。

 同製品は、折り畳み時の横幅が22センチメートル、全長が68・5センチメートルとコンパクトな設計が特徴。横幅はもちろん背もたれ部分も折り畳めるため、従来製品であれば1台しか積めなかったタクシーのトランクに、2台積むことができるという。足置きが跳ね上げ式で収納が簡単。従来は足置きが邪魔になり近づけなかった洗面台などにも容易に接近できる。

 同社によると、車いす市場の約80%はレンタル向けで、今後同社ではレンタル向けの市場開拓に注力していく方針。

 同社では個人向け販売時に無料試乗のサービスを行っており、その際にアンケートを実施している。「そこに書かれている利用者の声が大きな財産。製品開発に生かしている」(三好相談役)。

 利用者の声を受け、座席の高さを3センチメートル低くした汎用性の高いレンタル向け車いすを19年10月頃に発売する計画。今後はフレームにアルミを用いるなどニーズの多い軽量化に向けた開発も進めていく方針だ。介護・福祉機器のレンタル業者に向けて提案活動を促進し、10年後には10億円の売り上げを目指して新市場の開拓を推進する。(高松・西村和憲)
日刊工業新聞2019年9月6日

編集部のおすすめ