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自動運転、「一般道走行」巡り競争激化

自動車メーカーとIT勢はライバル?それとも仲間?
 自動運転技術の開発競争が激しさを増す。米国ではグーグルがレベル4―5で商用化を始め、公道の実証実験を進めるなどIT勢が躍進する。日本の自動車メーカーも業種を超えた連携を強化し自動運転の実用化に向け攻勢をかける。交通事故低減やドライバー不足対策、過疎地域の交通網の整備など自動運転技術が実用化されることの社会的意義は大きい。自動運転を巡り自動車業界は異業種を巻き込む変革期に入っている。

 トヨタ自動車は2020年をめどに高速道路、20年代前半には一般道での自動運転技術の実用化を目指す。21年には高度運転支援システムを搭載したミニバン「シエナ」を使って、ライドシェア大手米ウーバー・テクノロジーズの自動運転システムと連携する。ソフトバンクグループと共同出資するモネ・テクノロジーズ(東京都港区)が自動運転技術を用いたMaaS(乗り物のサービス化)の事業化を進めるなど異業種との連携を進める。

 日産自動車は20年までに交差点を含む一般道での自動運転技術を投入するほか、22年までに完全自動運転を実用化する計画。高速道路で一定条件で手放し運転ができる先進運転支援技術「プロパイロット2・0」を9月に発売する高級セダン「スカイライン」に搭載する。ホンダは20年に一定の条件付きで自動運転する「レベル3」の技術を実現する方針。渋滞時の高速道路でドライバーがハンドルから手を離し、周辺監視も不要とするシステムを実用化する。

 海外に目を向ければ米グーグル系の自動運転開発会社ウェイモがレベル4以上の技術を使い、安全のための同乗者を同席した上での自動運転タクシーを18年に商用化した。公道試験による自動運転の走行距離も順調に伸ばしライバルの追随を許さない。

 米テスラは「オートパイロット」の名称で自動運転技術を開発。自動運転技術とライドシェアサービスを組み合わせて20年半ばまでに自動運転モードで公道を走行できるようにする。米ゼネラル・モーターズ(GM)の自動運転部門「クルーズ」は自動運転タクシー事業の実現を目指す。技術開発が進む一方で、ウーバー・テクノロジーズは18年、自動運転車による公道実験で歩行者に衝突する事故を起こした。自動運転の社会実装の難しさを浮き彫りにする事故も起きている。
最新の運転支援技術を搭載した日産「スカイライン」

市場規模はどうなる?


 富士キメラ総研(東京都中央区)は、レベル3以上の自動運転を実現した車が40年に世界自動車販売台数の33%を占めると予測した調査結果をまとめた。自動運転車や人工知能(AI)などを搭載した車は約4412万台にのぼり、レベル3以上の自動運転が実現される見通し。特に中国や欧州から普及すると予測している。

 すでにレベル2相当の先進運転支援システム(ADAS)などの普及は高級車を中心に進んでおり、一般的になりつつある。技術的にはレベル3以上の実現は可能なものの、法整備が進まないなどの要因でレベル2までの普及にとどまっているのが現状だ。

 今回の富士キメラの調査によれば、25年以降に市場が拡大する。40年には販売されるレベル3以上の自動運転車、約4412万台のうち約92%でレベル3を実現する。レベル4は約7%、レベル5は約0.6%を占める。地域別では欧州は1411万台、中国が1208万台と両地域で8割を占めると予測する。

 これに関連して自動運転に欠かせない車載機器市場も急拡大する見込み。40年にはライダーの市場が17年比5505倍の5505万個、ミリ波レーダーの市場は同6.9倍の3億1465万個となる見通しを示している。
          
日刊工業新聞2019年8月16日の記事を抜粋

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