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利用者じわり拡大中、ビジネス書“試食”サービスの狙い

フライヤーが展開
利用者じわり拡大中、ビジネス書“試食”サービスの狙い

フライヤー公式フェイスブックページより

 フライヤーは、ビジネス書を1冊10分で読める長さに要約して提供するウェブサービス「フライヤー」を展開する。スマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)やパソコンのブラウザーから、同社が選出した話題の本の要約を閲覧できる。大賀康史社長は「骨子を届けるだけでなく、新たな出合いの場になってほしい。いわばデパ地下の試食だ」と表現する。

 要約文の作成にかかる期間は約1カ月。まず、要約する本の業界に詳しいライターが文章を作成。次に社内で複数の編集者が要約文を修正・校正する。最後にできあがった原稿を、本を発行した出版社や著者に見せて確認してもらう。

 要約には、重要な点を読解・理解する能力やその分野の専門性、読み手にわかりやすく表現する日本語力などが必要になる。これまで社員20人と外部委託のライター50人で1800冊の要約文を作成してきた。ビジネス書が中心だが、歴史やサイエンス、健康・フィットネスなど多様なジャンルをそろえる。「第一線で活躍するビジネスパーソンにとって必要な知見が込められているもの」(大賀社長)を選定する。上下巻や5巻セットのような、通常は読破に8時間程度かかる本でも4000字に要約する。

 利用者数は38万人を突破した。個人会員は、無料でサンプルのみを読めるプラン、月額500円(消費税抜き)で月に5冊分を読めるプラン、月額2000円(同)ですべての要約を読めるプランの三つがある。法人は100アカウントで月額5万円(同)から。個人をターゲットにしていたが、現在は法人利用が伸びている。2019年からは法人向けの営業部隊を新設。前期比3倍の伸び率で推移する。大賀社長は事業拡大の背景に「確固たる経験や理論が語られた本は、コンテンツとしての揺らがない価値がある」と捉える。

 現在は人工知能(AI)を活用し、利用者の趣向に合致する要約本を表示する機能も構築中。「2年後には会員数120万人を目指す」と意気込む。(水曜日に掲載)

【企業メモ】▷住所=東京都千代田区一ツ橋1の1の1、03・6212・5115▷資本金=非公表▽売上高=非公表▷従業員=20人▷設立=13年(平25)6月
日刊工業新聞2019年7月17日

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