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立命館大学の新学長が推進、スマホを使った「知の見える化」とは?

仲谷善雄学長インタビュー
 京都と滋賀、大阪にキャンパスを持つ立命館大学。新学部の設置が活発で、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)では学内施設の運営管理のためのロボット実証実験を行うなど、時代の変化を意識している。1月に就任し、学校法人立命館の総長も兼任する立命館大学の仲谷善雄学長に展望を聞いた。

 ―就任から半年の手応えは。
 「2020年までの中期計画の総仕上げを行うとともに、30年までの計画の具体化を進める役目がある。責任の重みはあるが、系列校を含む立命館全体で一体感を持って取り組めている。学生の元気さや父母会、校友会の熱い思いも感じる。立命館アジア太平洋大学(APU)の出口治明学長とは意見が合うので、一緒に学園を引っ張っていけると思う」

 ―取り組む課題は。
 「4月1日付で始めた総長プロジェクトの一つが、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みの強化だ。従来から進めてきたが取り残されている学生もいる。日常生活の国際化を踏まえ、自分が世界とつながっている意識を持てるようにしていく。その一環として、4月に開設したグローバル教養学部でアジアの視点を持つ人材育成を進める」

 ―研究や教育環境をどう充実させますか。
 「もう一つのプロジェクトとして知の見える化を進めたい。従来の大学は所属以外の研究室の活動がわかりにくく、1、2年生が3年生以降のゼミを選ぶのも大変だった。どこで何の研究をしているかをスマートフォンなどで確認できるようにし、他の研究室の実験などへ気軽に参加しやすくしたい。わくわくや感動を蓄積できる、きっかけを作る環境を整備していく。学生が主体的に取り組み、みんなで解決していけるように支援するのが大学の使命だ」

 ―産学連携にも期待が集まります。
 「社会の課題を大学だけで解決するのは難しく、産学連携が不可欠だ。研究成果の実装をするには企業が頼りだが、一方で大学も社会実装まで関わる必要がある。大学院生が企業と一緒に課題を考え、社会のニーズを実感できるよう人材育成も企業と協力して行いたい」

立命館大学の仲谷善雄学長

【略歴】なかたに・よしお 81年(昭56)阪大人間科学卒、同年三菱電機入社。04年立命館大理工学研究所主事、06年情報理工学部副学部長、12年総合科学技術研究機構長、14年情報理工学部長、同年理事・評議員、18年副総長。大阪府出身、60歳。

【記者の目/産学双方の視点生かす】
 企業での経験を持つ仲谷学長は、現在の教育を「『教える』や『育てる』と言いすぎている」とみる。従来の研究者を超える人材を生み出すため、個々が手探りで課題に取り組み、解決策にたどり着くことを願う。ロボットの導入など、学生が刺激を受ける環境作りは活発だ。産学双方の視点を生かした人材育成にも期待がかかる。(文=大阪・安藤光恵)
日刊工業新聞2019年6月20日

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