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携帯解約の違約金、「上限1000円」というアンケートは妥当か

違約金以外に約6000円の手数料、想定してアンケートに回答
 総務省は18日、携帯電話料金に関する有識者研究会を開いた。2年契約を途中で解約する違約金の上限を1000円とするルール案について、有識者からは基本的に賛同する意見が出され、大筋で了承した。通信契約を条件とした端末割り引き上限を2万円としたことも含め、上限金額の根拠が希薄だとの声も出ており、今後の議論に持ち越される。

 「移行にかかるスイッチングコスト(乗り換え費用)を低下させ、事業者間の競争を促進するには、期間拘束のある契約の解除に要する違約金の額を抜本的に引き下げる必要がある」―。研究会で示された資料では、違約金に上限を設ける理由をこう説明する。

 一方、一定期間の契約を結ぶことでメリットが得られる契約は他業界にもあり、違約金の完全廃止は適当でないと指摘。通信料と端末代金の完全分離による競争の効果を波及させるためにも、違約金の水準は最低限のものが必要とし、上限額を1000円とした。

 1000円とするのに参考にした利用者アンケートの詳細も示した。6000人のうち、他事業者への乗り換えを検討していると答えたのは47・5%に当たる2847人。このうち「違約金を支払う意思がある」と答えた1758人の8割超が「許容できる違約金は1000円」とした。

 ただ、携帯電話の解約には違約金のほか、他社からの乗り換え(MNP)手数料2000―3000円、新規契約時の事務手数料に3000円かかる。

 違約金以外に約6000円の手数料がかかることを想定してアンケートに回答しているため、許容できる違約金が低くなることは想定内と言える。

 有識者からも「アンケート結果のみに頼った制度設計には賛成できない」との声が聞かれた。資料では、上限2万円とする端末割り引き案についても「端末の大幅な値引き等で事業者が利用者を誘引するモデルを2年をめどに事実上根絶する」と総務省の強い意欲が示された。

 今回のルール案は今秋をめどに導入する。総務省は一定の上限を設けることで健全な競争を促す狙いだが、10月には楽天の参入で携帯電話業界の競争は激しさを増す。有識者からは「携帯事業者や販売店への影響など、継続的な実態調査を続ける必要がある」との意見も出た。
                            

(文・水嶋真人)
日刊工業新聞2019年6月19日

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