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なぜ九州の木材市場は好調なのか?他の地区は・・

バイオマス発電と中国の建材需要が後押し。供給不足の懸念も
 【東京】
 7月の東京地区は荷動きは今ひとつだが、盆明けの見積もりが増えており、秋に向け期待感が高まりつつある。6品目の価格を上げた合板は「住宅着工で断熱ボードなどに好影響が出ている」(丸増ベニヤ商会)。2品目の価格を上げた南洋材・中国材は「老人ホームや幼稚園、体育館向けの見積もりが多い」(数矢製材)という。

 5品目全ての価格が横ばいの松材(平角)は「荷動きが悪化している。秋に向けて見積もりが出てきたので成約につなげたい」(尾花材木店)と話す。

 6品目全ての価格が横ばいの東海材は「構造材のまとまった動きはないが造作材の動きはよかった。盆明けは見積もりが増えるので期待できそう」(美濃佐商店)という。

 5品目全ての価格が横ばいの紀州材・尾鷲材は「丸太は端境期なのに市場に出てくるものが少ない。製品ではなくバイオマスやチップ向けに直送される場合がある」(伊藤公治商店)と話す。5品目全ての価格が横ばいの九州材は「梅雨明けは荷動きがよくなった。製品の注文が増加している」(森林商事)という。2品目の価格を下げた吉野材は「木曽桧の代替えで幅広カウンターの問い合わせが増えた」(丸十商店)。

 4品目全ての価格が横ばいの広葉樹材は「公共工事の発注が少なく景況感が戻らない。造作家具は木目調シートが定着している」(北海林産)と困惑気味だ。

 【東京木材問屋協同組合調べ、単位=立方メートル、千円】
 ▽杉小巾板(秋田材・芯去り、特1等。3・65メートル×1・3センチ×9センチメートル)55・0
 ▽ヒノキ正角(紀州・尾鷲材。トク1、3メートル×10・5センチ×10・5センチメートル)92・0
 ▽メラピー内地挽(1等注文材)265・0
 ▽米松丸太(NO.3カスケード、8メートル上×1・8立方メートル廻り×30センチメートル)46・440
 ▽米ツガ(現地挽、KD〈S4S〉、4メートル×9センチ×9センチメートル)57・0
 ▽米ヒバ(現地挽、グリーン〈FOHC〉、4メートル×10・5センチ×10・5センチメートル)72・0
 【1枚当たり価格】  ▽型枠用合板一類(JAS〈A〉、輸入品、1・8メートル×12ミリ×90センチメートル)1・400
 ▽針葉樹構造用合板特類(2級C―D、1・82メートル×12ミリ×91センチメートル)1・040
 【名古屋】
 名古屋地区は、先月に比べて住宅需要の回復が見られたが、厳しい環境が続いている。愛知県木材住宅プレカット協議会加盟17社の7月のプレカット材生産量は、前年同月比6・6%増の21万870平方メートルだった。「6月と同じ傾向。各社の見積件数は上向きだが、内容は大手ハウスメーカーが好調で地元の中小工務店は低調が続いている」(業界関係者)と中部地域は依然厳しい状況だという。

 国産材では杉、ヒノキともに横ばい。地元中小工務店の仕事受注件数の伸び悩みが要因。先行きもよくないとの声が聞こえる。外材では、北米材は横ばい。カリフォルニア州での山火事による木材の消失に加え、オレゴン州では乾燥による山火事の危険性が高まっていることから、木材が少なくなっており米国内では丸太価格が上昇している。現在は横ばいだが、国内の価格も上がることを期待している。
 
 北欧材は、羽柄材が先月に続き強含み。入荷量、在庫量共に減少している。しかし構造材は横ばいが続いている。「住宅着工数が好調で、秋に向けて回復を見込んでいる」(同)との声が聞こえる。
 【東海木材問屋協議会調べ、単位=立方メートル・千円】
 ▽ヒノキ正角(東濃材・特等、3メートル×12センチ×12センチメートル)70・0
 ▽ヒノキ正角(一般材・特等、3メートル×12センチ×12センチメートル)60・0
 ▽ヒノキ土台角(一般材・特1等、4メートル×12センチ×12センチメートル)55・0
 【九州】
 7月の熊本は、杉柱材(長さ3メートル、直径16センチ―18センチメートル)が1200円の値上がり。ヒノキ土台角(同4メートル、同16センチ―18センチメートル)は1600円の値上がりだった。宮崎は杉柱材が900円の値上がり。ヒノキ土台角は800円の値上がりだった。

 熊本は製材所の在庫が減り、入荷は少なかった。宮崎は価格が持ち直してきた。7月後半、材が少なく、価格上昇の動きが見られた。見通しは「9月にかけて価格は上昇する」(都城地区製材業協同組合)と予想している。
 【肥後木材調べ、単位=千円】
 ▽杉柱材(3メートル、16センチ―18センチメートル)13・7
 ▽ヒノキ土台角(4メートル、16―18センチメートル)15・8
 【都城地区製材業協同組合調べ、単位=千円】
 ▽杉柱材(3メートル、16センチ―18センチメートル)11・8
 ▽ヒノキ土台角(4メートル、16―18センチメートル)13・7
日刊工業新聞2015年08月21日 商況面
田鹿倫基
田鹿倫基 Tajika Tomoaki 日南市 マーケティング専門官
特に九州の木材市場は非常に好調となっており、要因は大きく、バイオマス発電 と中国の建材需要の二つだ。 中国への輸出については2年前の20倍の量になっており、まだまだ伸びそうである。木材単価では底値の3倍をつける例もでているほどで、好調となっているが、木材は苗を植えてから出荷できるまで最低でも20年はかかるため、今後の供給 不足が逆に心配される。

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