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上向き作業を楽にするイス装置の仕組み

中村建設・沼津高専、橋梁点検などに提案
上向き作業を楽にするイス装置の仕組み

上方点検の両腕支持機構

 中村建設(浜松市中区、中村仁志社長、053・471・3421)と沼津工業高等専門学校の青木悠祐准教授は共同で、橋梁の点検などの上向き作業支援機を開発した。両腕をバネとフレームで支える。構造をシンプルに設計し、土木建築分野で壊れずに長く使えるようにした。つり足場での天井検査など、屈みながら上を向いて作業する現場に提案する。2020年の製品化を目指す。

 背もたれが大きく倒れるキャスター付きのいすに両腕を支えるフレームなどを取り付けて用いる。両腕をフレームに載せてバネで支え、肘の可動部は球関節で自由に動かせるようにした。

 肘の自由度は屈伸方向が約120度で旋回方向が約160度、肩の自由度は屈伸方向が約45度で旋回方向は約90度。腕支援ユニットは約3・5キログラムでいすに5分ほどで取り付けられる。

 筋電センサーで筋肉の負荷を計測すると、点検作業の開始と終了時の筋負荷がほぼ変わらなかった。腕の疲労を抑えられた。

 橋梁やトンネルなどの点検では仮設の足場を設置して、橋の裏や天井を検査補修する。高さを1・3メートル程度しか確保できない場所ができてしまうため、屈みながら上を向き両腕を上げた姿勢が長時間続き、検査員の負担が大きい。従来は車輪付きの板の上に座って作業していた。

 支援機構にモーターなどの駆動部品を用いると電源や配線などが問題になってしまう。現場で運用しやすいシンプルな構造にこだわった。
日刊工業新聞2019年6月13日

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