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「私が欲しいと思っていた装置」…世界最小の質量分析計はノーベル賞・田中氏お墨付き

島津製作所が開発、たんぱく質や糖鎖の詳細構造を解析
「私が欲しいと思っていた装置」…世界最小の質量分析計はノーベル賞・田中氏お墨付き

「私自身が欲しいと思っていた装置」と田中氏

 島津製作所は28日、設置面積がA3サイズと世界最小ながら、たんぱく質や糖鎖などの詳細構造を解析できる質量分析計「MALDIミニ1」を29日に発売すると発表した。田中耕一シニアフェローの2002年のノーベル化学賞受賞につながった分析法と、同社独自のデジタルイオントラップ技術を活用。卓上サイズで、研究者が難易度の高い分析を短時間に何度もトライできる製品に仕上げた。

 田中氏が所長を務める質量分析研究所が開発した。「私自身が欲しいと思っていた現場で使える装置」(田中氏)。価格は3000万円(消費税抜き)で、販売目標は年10台。バイオ医薬品系の研究機関などに提案する。

 サイズは幅309ミリ×奥行き385ミリ×高さ320ミリメートル。冷蔵庫サイズの同社従来機比で体積が97%減と格段に小型化した。

 イオン化補助剤を混ぜたレーザー照射で試料をイオン化するMALDI技術と、サイズの大きい高圧電源や筒状部品を不要にする同社独自のデジタルイオントラップ技術で、広い質量範囲で高感度、詳細な分析を可能にした。
日刊工業新聞2019年5月29日(機械)

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