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凸版の低コストIoT、ニシキゴイの中国輸出を助ける

「ZETA」活用、給餌の自動化サービスも
凸版の低コストIoT、ニシキゴイの中国輸出を助ける

ニシキゴイ養殖のいけすの水位をセンサーで測る(イメージ)

 凸版印刷は、省電力広域無線ネットワーク(LPWA)の規格「ZETA(ゼタ)」を用いたサービスを秋から提供する。既存施設や電波が届きにくい山間部の農場、養殖場などに低コストでIoT(モノのインターネット)を導入して管理する。サービス開発に向け、新潟県内のニシキゴイ養殖のいけすで5月7日―10月31日に実証実験を実施する。

 ゼタは、英ZiFiSenseが開発した通信規格。アクセスポイントと複数の中継器でネットワークを構成する「メッシュ(マルチポップ)型」で、中継器を介して遠隔地のセンサーや機器でも通信できる。通信環境によっては最長60キロメートル前後までカバー可能。アクセスポイントの設置コストを抑制できる。

 実証実験では、大日養鯉場(新潟県小千谷市)の営業所と、同社が新潟県内の山間部に保有する複数の養殖場を結ぶ。営業所の近くにアクセスポイントを、養殖場のいけすには水位変動や水質を計測できるセンサーを複数設置。センサーが異常を感知した時やあらかじめ設定した時刻など、必要な時だけ中継器が起動するため、養殖場へ担当者が頻繁に赴かなくてもいけすの状態を確認できる。

 ニシキゴイの給餌の管理には、凸版が独自に開発を進めるセンサーも使う。精度や効果を検証し、給餌の自動化といった新たなサービスやIoT機器の開発に役立てる。ACCESS(東京都千代田区)と開発中のIoT機器も今後導入を検討する。ニシキゴイは近年は中国など海外の富裕層に人気があり、需要の高まりを前に管理を高度化する必要に迫られている。

 凸版は、ゼタ関連事業で2022年までに10億円の目標を掲げる。業務効率化の他にも、属人化しているノウハウの見える化やデータの蓄積もでき、ゼタのビジネス拡大に力を注ぐ。

日刊工業新聞2019年4月23日(ICT)

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