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人民元切り下げ「アップル経済圏」への影響は?

鴻海などのEMSにはプラスか。アップルは中国でアイフォーン値上げに動く?
 台湾メディア「経済日報」は人民元切り下げによる、「アップル経済圏」への影響についての分析記事を掲載した。アイフォーンを生産するEMS(電子機器受託生産)世界最大手の鴻海精密工業は、人件費の大半を人民元で支払い、製品は米ドル建てで販売しているため、収益面で有利に働くと指摘。EMS大手のペガトロンも同様という。

 EMSが人民元を持つ目的は賃金を支払うためで、仕入れや製品の出荷は米ドルで行う。人民元が下がれば台湾ドルも下がるため、輸出を主体とする受託生産企業にとって有利に働くというわけだ。

 また在香港の株式アナリストは、「アップルの営業収益が変わらなければ、サプライヤーは為替差益をアップルに配分する必要がない。元切り下げはサプライヤーの利益にプラス」と解説している。

 鴻海が10日に発表した7月の営業収益(売上高に相当)は3121億9200万台湾ドル(1台湾ドル=約4円)で、市場の予想を上回り、7月としては過去最高を更新した。前年同月比では19.9%増、前月比では2%減にとどまった。市場関係者の予測では前月比で10%程度のマイナスが体勢を占めていた。

 経済日報によると、第3四半期(7-9月)の見通しについて台湾の市場関係者は、9月に発売予定のアイフォーンの新型モデル(6s)の効果で、8月、9月とも前月比で大幅な成長が期待できるとみている。

 一方、アナリストの中には元切り下げが続く場合、アップルが中国市場におけるアイフォーンの販売価格を引き上げる可能性が高い、という見方も出ている。

中国スマホ市場でシャオミーとファーウェイがアップル上回る


2015年8月11日ニュースイッチ公開


 世界最大のスマートフォン市場である中国に変化が起きている。調査会社のカナリスによれば、第2四半期の中国国内のスマホ出荷台数でそれまで首位だったアップルが3位に転落、シャオミー(小米科技)がトップに返り咲き、2位にもファーウェイ(華為技術)が入った。加えてビーボ(维沃移动通信)、オッポ(广东欧珀移动通信)といった新興勢力が急成長し、ビーボは4位のサムスンにほぼ並ぶまでになっている。スマホ市場が成熟する一方、地場メーカーの躍進が目立つ。

 カナリスによれば、シャオミーの4-6月期のシェアは15.9%。2位のファーウェイ(華為技術)も同15.7%でシャオミーに肉薄している。ファーウェイは出荷台数を前期に比べ48%増と大きく伸ばし、シャオミー/ファーウェイの2ブランドで中国市場の3分の1を占める。ビーボのシェアも1年前の4%から8%に増加した。12.2%のシェアのアップルも中国で着実に台数を伸ばしているものの、中国メーカーから高性能かつスタイリッシュな低価格スマホが次々に投入され、それらの台頭が際立っている。

 実はビーボ、オッポの二つは広州に本拠地を置く電機メーカー、BBKエレクトロニクス(歩歩高电器)の兄弟ブランド。シャオミーが7割方ネットでの販売にシフトし中間マージンを削減しているのとは対照的に、ビーボとオッポはネット販売より店頭販売に力を入れている。強力な販売代理店網を持ち、ネット販売への依存度が小さい分、代理店へのインセンティブを厚くすることができ、それがさらなる販売増やサービス強化につながっているという。

 一方、シャオミーは中国以外にも活路を見いだすべく、モディ政権が進める「メーク・イン・インディア」に歩調を合わせる形でインドでの本格的な市場開拓に乗り出した。10日には、鴻海精密工業と協力し、インドのアンドラプラデシュ州でスマホの生産を始めると発表している。
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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
中国地場メーカーの躍進でアップルはなかなか値上げに踏み込めないのではないか。またEMSも波乱要因がある。中国レノボが大規模のリストラを発表。それを受け大幅なサプライチェーンの見直しに踏み切るという。短納期などが要求されEMSの収益が圧迫させる可能性もある。

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