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航空機の中小サプライヤー羽ばたけ!生産連携を国が支援

経産省、EDIサービスを5月に開始
航空機の中小サプライヤー羽ばたけ!生産連携を国が支援

米ボーイングのエバレット工場(ボーイング提供)

 経済産業省は航空機向け中小サプライヤーの生産連携に乗り出す。日本航空宇宙工業会(SJAC)と協力し、受発注に関する電子データ交換(EDI)サービスを5月に開始。サプライヤー間の受発注情報を安価に共有できる基盤を整備する。取引の状況を“見える化”してサプライヤー間の生産連携を支援し、生産性の高い共同受注を行えるよう後押しする。100―200社の利用を見込む。

 SJACは、経産省が開発を支援したサプライヤー向けEDI「G―EDI」を5月下旬から試験運用する。対象はティアスリー(Tier3)と呼ばれる中小規模のサプライヤー。メーカーと直接取引するティアワン(同1)に部品を納入するティアツー(同2)と取引する3次サプライヤーを支援する。

 ティアスリー間で部品の発注量や納期などの情報をやりとりでき、ティアワンからティアツー、ティアスリーへの一貫した受発注情報を管理できるようになる。

 ティアスリーの間では、複数企業で構成する産業クラスターが幅広い工程を一括して請け負う共同受注の動きが広がっている。G―EDIを活用すれば、クラスター内の各社の状況を把握できる。例えば、前工程を手がけるティアスリー企業の状況を踏まえて自社(ティアスリー)の工程の準備をするなど、生産性を高めることが可能になる。また他の業者が提供するEDIサービスよりも安価に利用でき、データ管理も容易になる。発注するティアツー側も受発注管理に必要な人員を減らせる。

 今後、経産省は各クラスターに対し、EDIと連動した生産管理システムの導入を喚起する。これにより生産状況も共有でき「共同受注するクラスターが、あたかも一つの工場のように機能する」(航空機部品・素材産業室)という。

 米ボーイングによると、18―37年の20年間の新造機需要は17年予測比4・1%増の4万2730機を見込む。旺盛な需要が続く一方で、東南アジアでは欧エアバスなど欧米の主要企業が進出し、現地ではサプライチェーンが形成されつつある。経産省は日本のクラスターに対し、共同受注の競争力強化につながる仕組みを提供し、海外展開を後押しする。
日刊工業新聞2019年4月5日

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