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【今週のリケジョ】油田・ガス田の試料に向き合う

国際石油開発帝石 川崎緑さん
 国際石油開発帝石の川崎緑さん(30)は子どもの頃の遊びで自然現象に興味を持った。中学校では理科の実験で金属化合物が炎の色をあでやかに変える炎色反応に魅了された。実験室で働く姿を夢見て技術者への最短ルートを選択。分析器や試験機が並ぶ技術研究所で、油田・ガス田の試料に向き合う。

エネルギー、新たな進路に


 中学時代を過ごした栃木県で、近くに小山工業高等専門学校がありました。理科が大好きだった私はオープンキャンパスで実験や実習を見学し、学園祭にも行き「ここしかない」と確信。物質を分子・原子レベルで探求する物質工学科に進学しました。中学と同じように吹奏楽部に入ったら、顧問は物理の先生。楽想は音の強弱にしても、テンポにしても感覚的な表現が多いんですが、指導の仕方が論理的で面白いんです。理系らしい吹奏楽活動を楽しませてもらいました。

 4年後期からの研究室では、排水処理などで生じる汚泥を効率的に脱水する電気浸透技術がテーマ。その延長線上での就職も考えましたが、小山高専にエネルギー系の研究室がなかったこともあり、新しいことをやってみたくて国際石油開発帝石に入社しました。

 産出物にわずかに含まれる不純物を分析したり、生産現場のトラブル原因を究明したりする試験が主な業務。思うような結果が出ないときはつらいですが、責任とやりがいを感じます。職場には女性の先輩もいて働きやすい環境です。ただ、入社10年でまだ一番下っ端なんです。そろそろ後輩がほしいですね。

 休日には友人と食べ歩きをしたり、姉の影響で好きになったモータースポーツ観戦に出かけたりします。国内にも油田・ガス田はありますが、資源開発の舞台は海外がメーン。海外赴任している同期もいて、遊びに行ったこともあります。これからどんな仕事ができるのか―。夢が膨らみます。
 (文=編集委員・青柳一弘、写真=森住貴弘)
            
日刊工業新聞2019年3月25日

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