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列島景気診断―最も好調なのは「中部」実感に乏しいのは「東北」

列島景気診断―最も好調なのは「中部」実感に乏しいのは「東北」

東北地方ではプレス・金型関連の受注環境は着実に好転してきている(トヨタ自動車東日本=宮城大衡工場)

**【中部】トヨタ関連の設備投資に新幹線効果
 中部(東海・北陸)地方は、北米向け輸出が好調な自動車、設備需要増に伴い活況な工作機械など、活発な生産活動を続けている。東海経済は「消費と設備投資が非常にいい状況」(飯塚厚東海財務局長)。小売店では高額商品が売り上げをけん引。全産業の2015年度の設備投資は前年比26・9%増の見通しで全国見通しの同5・9%増を大幅に上回る。北陸は電機が高水準なほか“新幹線効果”で消費も堅調だ。
 
 自動車は北米向け輸出が好調な一方、国内販売が弱含みで推移。ただトヨタ自動車は「国内の軽自動車を除く市場は(当初見通しより)強めに出る」(大竹哲也常務役員)とし、15年の国内生産台数(ダイハツ工業日野自動車を除く)について1月公表計画に8万台上乗せした。部品メーカーにとって好材料となる。
 
 自動車生産にけん引される形で、企業は設備投資に前向き。工場向け検査装置の開発販売を手がけるオプトン(愛知県瀬戸市)の與語照明社長は「品質保証にも投資の動きが広がっている」と話す。生産にじかに関わらない装置への投資も活発な点に、企業の高い投資意欲がうかがえる。
 
 中国経済の動向など先行きに懸念材料もあるが、16年以降も回復していくとの見方が大半だ。

【東北】生産指数が軒並み悪化。受注環境が好転したケースは同業の廃業


 東北地方では景気回復の実感に乏しいという声が多く聞かれる。それを裏付けるように、東北経済産業局がまとめた5月の鉱工業生産動向指数(速報、2010年=100)は、前月比1・5%低下の93・1と4カ月連続で低下。宮城県の鉱工業生産指数(季節調整済指数)は、同1・7%上昇し93・6と2カ月ぶりの上昇となったが、前年同月比(原指数)ではマイナス7・0%と8カ月連続の低下となっている。

 福島県の鉱工業生産指数(季節調整済指数)も、前月比3・6%減と2カ月連続で低下した。プレス製品、金型設計・製造を手がける吾妻プレス工業(福島県二本松市)の渡辺隆社長は「受注環境は着実に好転してきた」と語る。だが好転の要因は、同業者の廃業や規模縮小の影響が大きいという。経営資源に乏しい企業は淘汰(とうた)され、事業を継続できた企業に仕事が集まる構造だ。

 電気機械や金属加工など基盤技術を持つモノづくり中小企業が集積する山形県。5月の山形県鉱工業生産指数(速報・季節調整済指数)は前月比2・1%減となり、2カ月ぶりに低下した。全体の景況感としては「先行きは見通しにくい」との声が多い。

 そんな中、生産用機械などは堅調だ。生産装置を手がけるグローバルマシーン(山形県庄内町)は、7月に組立工場を本社工場敷地内に新設した。菅原勝安社長は「次代に向けた投資」と新規開拓に意欲をみせる。
 
※日刊工業新聞では8月12日、13日の2日間にわたり「深層断面」で列島景況を掲載。

 
日刊工業新聞2015年08月12日/13日最終面の記事から一部抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
トヨタのお膝元の東海、五輪を控える東京を中心とした首都圏、当分は2地区とその他で格差が出てくるだろう。あとは福岡、沖縄など特区やポテンシャルを持つ一部都市でも経済成長の可能性がある。

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