「CR-V」に見る中国新車販売の気まぐれ
日系メーカーは中長期で投資を継続
中国経済の減速を受け、日本企業の業績は先行きを楽観できない状況にある。だが、日系自動車メーカーにとって中国経済は足元で減速しているものの、中長期的には魅力的な巨大市場であることに変わりはない。
「中国は少し踊り場」―。12日の2018年度第3四半期決算会見で日産自動車の西川広人社長は指摘した。同社は米中市場での販売減を主要因に通期予想を下方修正した。
中国汽車工業協会によると18年の中国の新車販売台数は、前年比2.8%減の2808万600台と28年ぶりの前年割れとなった。17年に販売を押し上げた減税効果がなくなり、反動減が出た。また米中貿易摩擦により景気の先行き不安が高まり、市場成長に水を差したとみられる。
中国新車販売で日系メーカーではトヨタ、日産、三菱自は前年比プラスとなり過去最高を更新した。トヨタは高級ブランド「レクサス」も好調で2ケタ増と成長した。一方、ホンダ、マツダ、スバルは前年割れだった。ホンダは主力スポーツタイプ多目的車(SUV)「CR―V」が不具合で一時販売停止になったことが響いた。
しかし1月の新車販売台数は、ホンダは8.2%増の13万6483台で、1月単月として過去最高を更新し巻き返した。セダン「アコード」や「CR-V」も復調した。トヨタも前年同月水準を上回った一方、日産とマツダはマイナスとなった。
中国政府は先月、旧型の排ガス規制対応車や、農村での小型車への買い替えを支援する補助金制度を発表。ただ過去3回、補助金政策を実施しており、ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太マネージング・ディレクターは「刺激策があっても、その効果は徐々に薄れてきている」と指摘する。19年は大崩れはしないものの停滞は続く可能性が高い。
米中貿易戦争が激化すればさらに景気を冷やしかねない。中国市場の中長期の成長ポテンシャルに期待する声が多いが杉本浩一三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストは「景気が急激に悪化すれば、20年まで3年連続の前年割れというシナリオもあり得る」と警鐘を鳴らす。
一方で「長い目でみれば成長市場」(西川日産社長)との認識は日系各社で共通する。ある大手幹部は「4―5年後、3500万台市場になる」とみる。需要増に対応するためホンダは4月、武漢市で年産能力12万台の新工場を稼働させる。同社の中国での年産能力は従来比約1割増の125万台に増える。トヨタ自動車や日産も新工場計画を進めており各社がアクセルを踏む。
また中国は電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、自動運転など先端技術・サービスでも存在感を示す。トヨタは北京市と上海市に、人工知能(AI)や自動運転の研究開発拠点を年内にも設置する方針を固めた。「されど中国」とばかり、将来を見据えて中国市場の開拓を継続する。
「中国は少し踊り場」―。12日の2018年度第3四半期決算会見で日産自動車の西川広人社長は指摘した。同社は米中市場での販売減を主要因に通期予想を下方修正した。
中国汽車工業協会によると18年の中国の新車販売台数は、前年比2.8%減の2808万600台と28年ぶりの前年割れとなった。17年に販売を押し上げた減税効果がなくなり、反動減が出た。また米中貿易摩擦により景気の先行き不安が高まり、市場成長に水を差したとみられる。
中国新車販売で日系メーカーではトヨタ、日産、三菱自は前年比プラスとなり過去最高を更新した。トヨタは高級ブランド「レクサス」も好調で2ケタ増と成長した。一方、ホンダ、マツダ、スバルは前年割れだった。ホンダは主力スポーツタイプ多目的車(SUV)「CR―V」が不具合で一時販売停止になったことが響いた。
しかし1月の新車販売台数は、ホンダは8.2%増の13万6483台で、1月単月として過去最高を更新し巻き返した。セダン「アコード」や「CR-V」も復調した。トヨタも前年同月水準を上回った一方、日産とマツダはマイナスとなった。
中国政府は先月、旧型の排ガス規制対応車や、農村での小型車への買い替えを支援する補助金制度を発表。ただ過去3回、補助金政策を実施しており、ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太マネージング・ディレクターは「刺激策があっても、その効果は徐々に薄れてきている」と指摘する。19年は大崩れはしないものの停滞は続く可能性が高い。
米中貿易戦争が激化すればさらに景気を冷やしかねない。中国市場の中長期の成長ポテンシャルに期待する声が多いが杉本浩一三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストは「景気が急激に悪化すれば、20年まで3年連続の前年割れというシナリオもあり得る」と警鐘を鳴らす。
一方で「長い目でみれば成長市場」(西川日産社長)との認識は日系各社で共通する。ある大手幹部は「4―5年後、3500万台市場になる」とみる。需要増に対応するためホンダは4月、武漢市で年産能力12万台の新工場を稼働させる。同社の中国での年産能力は従来比約1割増の125万台に増える。トヨタ自動車や日産も新工場計画を進めており各社がアクセルを踏む。
また中国は電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、自動運転など先端技術・サービスでも存在感を示す。トヨタは北京市と上海市に、人工知能(AI)や自動運転の研究開発拠点を年内にも設置する方針を固めた。「されど中国」とばかり、将来を見据えて中国市場の開拓を継続する。
日刊工業新聞2019年2月22 日の記事を加筆・修正