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よくわかるIoT時代の部品と情報システムの連携

文=森崎修司 交換時期の傾向を分析。人手よりも機械学習の方が精度高く
 IoT(モノのインターネット)の価値はセンサーやカメラを活用した精緻な制御や効率的な制御だけではない。モノからの情報が生産管理、受発注、在庫管理システムといった業務システム(情報システム)と連携できる点にもある。

 これまでにも、予防保守のため消耗部品を監視するセンサーやカメラを情報システムと接続し、交換部品の発注や交換作業を人手を介さず手配するシステムはあった。事前に決めておいた交換の条件を満たしているか常時監視し、条件を満たしたら情報システムを通じて交換部品を発注したり、交換作業を手配したりする。

 IoT時代のモノと情報システムとの連携はどのように違うのか。その全貌はまだ明らかになっていないが、大別して二つあると筆者は考える。

 一つは情報システムとのより高度な連携である。例えば、他の発注や作業と相乗りして部品調達・配送・交換作業コストを下げることができるのであれば、相乗りできる別の発注や交換作業がないかを人手を介さず調べる仕組みを作る(図)。
 
 まず、許容範囲内でどの程度交換時期を前後できるか調べる。次に、相乗りするための交換時期調整システムを作る。仕掛品の状況、交換部品の受発注、作業員のスケジュールを情報システムで管理することは一般的になっており、こうした手がかりを入手する環境は整いつつある。
 
 もう一つは情報システムに蓄積した過去の実績から傾向を分析し予測することである。交換部品の例では、複数の部品の交換時期が重なっている、交換は夏の時期に多いといった傾向が見つかる場合がある。交換時期が分布に従うなどの規則性があれば、人手よりも機械学習(人工知能)による予測のほうが精度が高くなるものもある。そうした分析機能を持つ情報システムも増えてきている。

 また、新しいバージョンでの改善に向けソフトウエア開発活動の要求定義工程において、過去の実績を分析することも多く、そのやり方を流用できるだろう。
(文=名古屋大学大学院情報科学研究科准教授・森崎修司氏)
 ※連載「ソフトウエアがつくる価値」より
日刊工業新聞2015年08月06日 モノづくり面の記事を一部修正
山口豪志
山口豪志 Yamaguchi Goushi Protostar Hong Kong 董事長
IoTについて、様々な期待がされている。全く革新的な新しい技術という側面よりも、既存の仕組みの改良改善という方向性にも大いに期待したい。特に物流や機会による生産ラインなど、IoT化することでより精度の高い生産ラインがつくられることに期待!

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