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売上高は3倍の3000億円に、ドコモが強化する映像関連事業の勝算

「5G開始で間違いなく拡大する」(吉沢社長)
売上高は3倍の3000億円に、ドコモが強化する映像関連事業の勝算

写真はイメージ

 NTTドコモは2025年度に映像関連事業の売上高を現状比約3倍の3000億円に高める。映像配信サービス「ひかりTV」を運営するNTTぷらら(東京都豊島区)を7月までに子会社化する。NTTコミュニケーションズが持つNTTぷらら株を取得し、持ち分比率を95・4%に増やす。NTTぷららの映像制作・調達能力を生かし映像配信サービスを強化する。動画広告配信、映像を用いた通信販売といった新ビジネスも生み出す。

 NTTドコモの18年4―12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比1・8%増の3兆6541億円、営業利益が同5・4%増の9020億円だった。吉沢和弘社長は「第5世代通信(5G)開始で映像ビジネスは間違いなく拡大する。仮想現実(VR)や複合現実(MR)ビジネスも拡大させたい」と語った。

日刊工業新聞2019年2月4日


NTTぷらら、ARコンテンツを拡充中  

日刊工業新聞2018年4月26日


 NTTぷららが運営する映像配信サービス「ひかりTV」が10周年を迎えた。会員数が2010年に100万人、12年に200万人を突破したが、300万人を超えた15年以降は伸び率が鈍化している。ネット配信業者の台頭でテレビ向けユーザー数が伸び悩む中、スマートフォンや拡張現実(AR)など向けのコンテンツ拡充で次の10年の成長につなげる。

 「10年一区切り。従来のひかりTVから新しい事業領域を開いていかなければならない」―。都内で開いた10周年イベントで板東浩二社長は、こう宣言した。板東社長は新事業領域について「一言で言うならコンテンツビジネス戦略会社に生まれ変わって進化したい」と明かす。具体的にはスマホ向けコンテンツ・アプリ市場の開拓、ARや仮想現実(VR)を使った“新体感”映像コンテンツの制作、新技術・新サービスの導入だ。

 スマホ向けの開拓ではNTTドコモと連携し、31の専門チャンネルをスマホやタブレットで楽しめる映像配信サービス「dTVチャンネル」の提供を1月末に始めた。6月にはNTTドコモ向けのサービスとして、ひかりTVをカスタマイズ(個別対応)した「ひかりTV forドコモ」の提供を予定している。

 新体感映像コンテンツでは、岡田武史元日本代表監督がオーナーのサッカーチーム「FC今治」のスタジアムをスマート化。スタジアム内限定ウェブサイトにアクセスすることで、その日最も活躍した選手を決定する「MVP投票」に参加できたり、ARマーカーを専用アプリで読み取ることでスタジアム近隣の商業施設で利用できるクーポンを入手できたりする仕組みを整えた。

 新技術の導入では、マルチアングル配信技術やAR技術を用いて布袋寅泰氏のライブ映像を楽しめるスマホアプリ「布袋寅泰 新体感ライブ」を配信している。

 英ロンドンで行われた布袋氏のスタジオライブをさまざまな角度のカメラ映像から選んで視聴可能。オリジナルのピック型ARマーカーにスマホをかざすと布袋氏がバーチャル3Dフィギュアになってスマホの画面に出現し映画「キル・ビル」のテーマ曲を演奏する。

 このARマーカーを使った3Dバーチャルフィギュアコンテンツ「ひかりTV VF」は協業の提案を複数受けており、「1年かけてプロモーションしながら本格的に広げていきたい」(板東社長)という。

ピック型ARマーカーにスマホをかざすと3Dの布袋氏が演奏
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
先日、CM制作会社の方々に取材をする機会があり、5G時代に期待する声を多く聞きました。5G時代になり、ネット上に動画広告が溢れるとすると、CM制作会社の映像制作力により差別化できるという見立てです。ただ、例えばスマホ向けの動画広告は縦型か横型か主流になるかなど、具体的にどんな動画コンテンツが求められるかはまだ、予想がついていない様子も印象的でした。「5Gは動画時代」という声は多く聞かれますが、その中でどんな動画コンテンツがもっともキラーになるか気になるところです。

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