失敗は「ナイストライ」、次の挑戦できる社会に
福岡移住計画代表・須賀大介氏
**移住や創業、再起支援の社会に
起業してから16年、縁のなかった福岡にIターンで移り住んで10年になる。設立した福岡移住計画は任意団体で、福岡への移住者と移住を支援する人・企業をつなぐ活動を展開している。我々は移住に関するいろいろな情報を発信しながら、交流イベントや現地体験会を開いたり、住居など必要なサポートに取り組んだりしてきた。仲間は少しずつ増えている。発信する情報は、さまざまなメンバーの感覚を大切にしている。景色の素晴らしさを伝えるのも自分の目で見た実感だ。そこは公平であることを重視しなければならない行政の情報とは違う。
私が移住してきた背景にはリーマン・ショックと東日本大震災がある。仕事の激減や、お金があっても水さえ買えない経験をして一極集中のリスクを実感した。全国で移住先を検討し福岡を選んだ。
国を挙げた地方創生の中で移住が注目されている。今の仕事や生活の環境を手放してでも東京で培った技術を地方で生かしたいという人はいて、今後も増えるだろう。
移住とは言えなくても、一人が複数の拠点を持つことは地方創生につながる。新しい取引先や友人ができて“関係人口”が増える。人口減少が止められなくても、関係人口なら増やせる。
地方には事業の拠点にできる遊休不動産というインフラがある。ただ、必要なのはハードではなく、人のマッチングなどソフト面の支援であり、失敗を含めて多くの情報を共有することだろう。
移住の成功事例は増えており、後継者がいなかった事業者の事業承継に結びついたケースもある。人を呼びたい全国の地方自治体は成功事例に注目する。だが特定の事例が他の地域でも当てはまるフォーマットになるかは難しく、その成功は奇跡に近いと言っていいのかもしれない。私自身、何者か知られず信用がない中で、がむしゃらに行動し失敗もして今の状況がある。
移住にも創業にも共通するのは、チャレンジして失敗しても、それが許される社会ではないか。想定していたことが通用しなかったということは当たり前。その地域で失敗したことが別の地域で成功することもある。失敗は「ナイストライ」とたたえたい。そして次の挑戦ができるよう、社会に選択肢を増やすことだ。
(福岡市西区今宿駅前1の15の18)
起業してから16年、縁のなかった福岡にIターンで移り住んで10年になる。設立した福岡移住計画は任意団体で、福岡への移住者と移住を支援する人・企業をつなぐ活動を展開している。我々は移住に関するいろいろな情報を発信しながら、交流イベントや現地体験会を開いたり、住居など必要なサポートに取り組んだりしてきた。仲間は少しずつ増えている。発信する情報は、さまざまなメンバーの感覚を大切にしている。景色の素晴らしさを伝えるのも自分の目で見た実感だ。そこは公平であることを重視しなければならない行政の情報とは違う。
関係人口は増える
私が移住してきた背景にはリーマン・ショックと東日本大震災がある。仕事の激減や、お金があっても水さえ買えない経験をして一極集中のリスクを実感した。全国で移住先を検討し福岡を選んだ。
国を挙げた地方創生の中で移住が注目されている。今の仕事や生活の環境を手放してでも東京で培った技術を地方で生かしたいという人はいて、今後も増えるだろう。
移住とは言えなくても、一人が複数の拠点を持つことは地方創生につながる。新しい取引先や友人ができて“関係人口”が増える。人口減少が止められなくても、関係人口なら増やせる。
挑戦の選択肢多く
地方には事業の拠点にできる遊休不動産というインフラがある。ただ、必要なのはハードではなく、人のマッチングなどソフト面の支援であり、失敗を含めて多くの情報を共有することだろう。
移住の成功事例は増えており、後継者がいなかった事業者の事業承継に結びついたケースもある。人を呼びたい全国の地方自治体は成功事例に注目する。だが特定の事例が他の地域でも当てはまるフォーマットになるかは難しく、その成功は奇跡に近いと言っていいのかもしれない。私自身、何者か知られず信用がない中で、がむしゃらに行動し失敗もして今の状況がある。
移住にも創業にも共通するのは、チャレンジして失敗しても、それが許される社会ではないか。想定していたことが通用しなかったということは当たり前。その地域で失敗したことが別の地域で成功することもある。失敗は「ナイストライ」とたたえたい。そして次の挑戦ができるよう、社会に選択肢を増やすことだ。
(福岡市西区今宿駅前1の15の18)
【略歴】すが・だいすけ 99年(平11)明治大商卒。02年スマートデザインアソシエーション設立、12年福岡移住計画設立。茨城県出身、42歳。
日刊工業新聞2019年1月28日