「どこか人ごと」部品メーカーが日産幹部に感じた違和感
新年恒例行事、ルノー出身役員の姿なし
日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が特別背任の罪で追起訴された11日。日産本社(横浜市西区)では、日産幹部と部品サプライヤー幹部との恒例の賀詞交歓会が開かれた。不正問題が2018年11月に発覚して以来、初めて西川広人社長兼最高経営責任者がサプライヤーの前に立った。「どこか人ごとのようだった」―。西川社長の言葉を聞いた関西の大手サプライヤー幹部の表情は曇る。またルノー出身の日産役員は姿を見せなかったようだ。
賀詞交歓会には日産から西川社長のほか、生産担当の坂本秀行副社長、アライアンス担当の山口豪副社長らが参加した。西川社長があいさつし、乾杯の音頭をとった。
謝罪やコーポレートガバナンス(企業統治)強化に関する説明はあったが、前述のサプライヤー幹部は「『信じて日産についてきてほしい。一緒に頑張りましょう』といった前向きなメッセージを期待したが、“思い”は伝わってこなかった」とこぼす。
99年に日産再建を託され、仏ルノーから送り込まれたゴーン被告は経営計画「リバイバルプラン」を実行し、日産をV字回復に導いた。この大リストラでは調達部品のコスト削減も柱の一つだった。こうした経緯から日産サプライヤーには、厳しい要求を苦しみながら飲み込み、日産を支えてきたという強い自負がある。
それだけに今回の西川社長の対応に対し、関東の大手サプライヤー幹部も「部品メーカー軽視だ」と不満をぶちまける。
不正問題の発覚直後、ゴーン被告に向かっていたサプライヤーの不満の矛先は今や日産経営陣に広がりつつある。賀詞交歓会に出席した複数のサプライヤー幹部は、会場にルノー出身の日産役員が姿を見せなかったことに「違和感を覚えた」と振り返る。
西川社長は「ゴーン氏の不正は個人の問題。(三菱自動車、仏ルノーとの)アライアンス(連合)に影響はない」と強調したというが、足元から連合のほころびがちらつく。
米中という自動車2大市場の失速や、トランプ米政権の通商政策などにより、自動車業界の不透明感は高まっている。さらに日産のゴーン問題は収束の兆しを見せず、3社連合の行く先にも暗雲が垂れ込める。「(自社の)業績にどんな影響が出てくるのか…。先がみえない」―。中堅サプライヤー幹部の表情は不安げだった。
(文=後藤信之、下氏香菜子、山岸渉)
賀詞交歓会には日産から西川社長のほか、生産担当の坂本秀行副社長、アライアンス担当の山口豪副社長らが参加した。西川社長があいさつし、乾杯の音頭をとった。
謝罪やコーポレートガバナンス(企業統治)強化に関する説明はあったが、前述のサプライヤー幹部は「『信じて日産についてきてほしい。一緒に頑張りましょう』といった前向きなメッセージを期待したが、“思い”は伝わってこなかった」とこぼす。
99年に日産再建を託され、仏ルノーから送り込まれたゴーン被告は経営計画「リバイバルプラン」を実行し、日産をV字回復に導いた。この大リストラでは調達部品のコスト削減も柱の一つだった。こうした経緯から日産サプライヤーには、厳しい要求を苦しみながら飲み込み、日産を支えてきたという強い自負がある。
それだけに今回の西川社長の対応に対し、関東の大手サプライヤー幹部も「部品メーカー軽視だ」と不満をぶちまける。
不正問題の発覚直後、ゴーン被告に向かっていたサプライヤーの不満の矛先は今や日産経営陣に広がりつつある。賀詞交歓会に出席した複数のサプライヤー幹部は、会場にルノー出身の日産役員が姿を見せなかったことに「違和感を覚えた」と振り返る。
西川社長は「ゴーン氏の不正は個人の問題。(三菱自動車、仏ルノーとの)アライアンス(連合)に影響はない」と強調したというが、足元から連合のほころびがちらつく。
米中という自動車2大市場の失速や、トランプ米政権の通商政策などにより、自動車業界の不透明感は高まっている。さらに日産のゴーン問題は収束の兆しを見せず、3社連合の行く先にも暗雲が垂れ込める。「(自社の)業績にどんな影響が出てくるのか…。先がみえない」―。中堅サプライヤー幹部の表情は不安げだった。
(文=後藤信之、下氏香菜子、山岸渉)
日刊工業新聞2019年1月14日掲載