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DICが小学校で理科実験授業を開講する理由

「工場近隣に住む小学生はステークホルダー」
DICが小学校で理科実験授業を開講する理由

DICは理科実験授業を開いている(東京都北区の浮間小学校)

 DICは、2010年から小学校で理科実験授業を実施している。千葉県松戸市で始め、14年からはDICグラフィックス東京工場(東京都板橋区)近隣の小学校で「顔料の作り方」「平版印刷」といったテーマで開講。理科離れを防ぐ目的で、化学の面白さを伝えている。狙いについて、池田規子サステナビリティ推進部長に聞いた。(江上佑美子)

―東京工場では盆踊り大会を開くなど、地域との交流を図っています。

「事業活動について知ってもらい、地域にとって身近な存在になることは企業にとってプラスだ。そうでなければ『あの工場は何をやっているか分からない』『安全なのか』と住民の方が不安を抱いてしまう。工場近隣に住む小学生はステークホルダー。12月に実施の理科実験授業は先生からも好評だ。別の工場では、中学生のインターンシップ(就業体験)を受け入れている」

―理科実験授業の講師は新入社員が務め、社内の人材育成にも役立てています。

「事故を起こさないように配慮しながら、時間内に分かりやすく伝える必要がある。半年かけて準備し、先輩のアドバイスを受けながら訓練している」

―07年度にCSR(企業の社会的責任)を、経営に取り入れました。

「持続的な成長への方向性を位置付けるため、14年度に活動名称を、CSRからサステナビリティに変更した。ESG(環境・社会・企業統治)に対する投資家や取引先からの要請は高まっている。二酸化炭素(CO2)対策やコミュニティーとの関わりといった活動は必須だ。当社は60以上の国に拠点があり、グループを挙げて進めている」

―多くの人が利用しやすいカラーユニバーサルデザインの普及にも積極的です。

「色覚障害を持つ人は電車の路線図などに書かれた色の違いを見分けるのが難しい。当社は判別しやすい配色などを研究、提案している。企業パンフレットには彩りを提案する企業として、ふんだんに色を使っている。一方で、多様な色覚を持つ人に配慮したデザインにする工夫もしている」
日刊工業新聞2019年1月4日

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