相次ぐ最高益の化学各社、一部顧客の買い控えが出始めた…
19年は潮目が変わるか
化学各社は主力製品への追い風に乗って過去最高益が相次いだ。この2年ほど業界全体の好況を支えた石油化学市況に減速の兆しが見える中で、世界シェアトップ級の稼ぎ頭を有する企業が好業績をあげている。
昭和電工は2018年1―9月期連結決算の当期利益が前年同期比4・2倍の992億円に急拡大した。17年の独社買収で電炉用黒鉛電極事業の世界シェアは32%と首位に躍り出たところに、中国の鉄鋼生産能力削減などで顧客の事業環境が改善。米国の保護主義政策も追い風となる。
黒鉛電極の需給逼迫(ひっぱく)は続く。「昨年平均比で7―9月期実績は4倍強となり、国内・韓国向けの契約価格は10―12月期に5倍強まで上昇している」(加藤俊晴取締役)と不安なし。さらに19年も価格上昇を見込んでおり、先行きは明るい。
アクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)がけん引役の三菱ケミカルホールディングスは、4―9月期の当期利益が同19・6%増の1202億円だった。アジア地域のMMAモノマーが一時期トン当たり2800ドルと歴史的高値をつけるなど市況高が継続。世界シェア4割を握るトップメーカーとしてその恩恵を享受した。
ただ、足元は下げ基調だ。「世界の景気は悪くなっている。製品の動きがすごく鈍い」(三菱ケミカルの宮木敬常務執行役員)と先行きを楽観視していない。デジタルトランスフォーメーションなどで基盤固めを急ぐ。
信越化学工業は世界首位の塩化ビニル樹脂とシリコンウエハーが絶好調。4―9月期の当期利益が同43・4%増の1588億円と伸ばした。旭化成は世界2位の樹脂・繊維原料のアクリロニトリル(AN)の利ザヤ拡大で4―9月期の当期利益が同11・4%増の789億円だった。
一方で、19年の世界経済は不透明感が漂う。米中貿易摩擦や原油の乱高下で化学品も顧客の買い控えが出始め、好業績に沸いた業界の潮目が変わる可能性はある。
(文=鈴木岳志)
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「野武士」旭化成、競合他社からの嫉妬も
昭和電工は2018年1―9月期連結決算の当期利益が前年同期比4・2倍の992億円に急拡大した。17年の独社買収で電炉用黒鉛電極事業の世界シェアは32%と首位に躍り出たところに、中国の鉄鋼生産能力削減などで顧客の事業環境が改善。米国の保護主義政策も追い風となる。
黒鉛電極の需給逼迫(ひっぱく)は続く。「昨年平均比で7―9月期実績は4倍強となり、国内・韓国向けの契約価格は10―12月期に5倍強まで上昇している」(加藤俊晴取締役)と不安なし。さらに19年も価格上昇を見込んでおり、先行きは明るい。
アクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)がけん引役の三菱ケミカルホールディングスは、4―9月期の当期利益が同19・6%増の1202億円だった。アジア地域のMMAモノマーが一時期トン当たり2800ドルと歴史的高値をつけるなど市況高が継続。世界シェア4割を握るトップメーカーとしてその恩恵を享受した。
ただ、足元は下げ基調だ。「世界の景気は悪くなっている。製品の動きがすごく鈍い」(三菱ケミカルの宮木敬常務執行役員)と先行きを楽観視していない。デジタルトランスフォーメーションなどで基盤固めを急ぐ。
信越化学工業は世界首位の塩化ビニル樹脂とシリコンウエハーが絶好調。4―9月期の当期利益が同43・4%増の1588億円と伸ばした。旭化成は世界2位の樹脂・繊維原料のアクリロニトリル(AN)の利ザヤ拡大で4―9月期の当期利益が同11・4%増の789億円だった。
一方で、19年の世界経済は不透明感が漂う。米中貿易摩擦や原油の乱高下で化学品も顧客の買い控えが出始め、好業績に沸いた業界の潮目が変わる可能性はある。
(文=鈴木岳志)
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日刊工業新聞2018年12月12日