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オープン開発環境で「ペッパー」はどこまで進化するのか!?

10月から法人向けモデルの受注開始。トヨタやインテルも技術者やユーザー巻き込む
オープン開発環境で「ペッパー」はどこまで進化するのか!?

ロフトの接客ペッパー(左)とソフトバンクの孫社長

 ソフトバンクは30日、人型ロボットの法人向けモデル「ペッパー・フォー・ビズ」の申し込みを10月1日から受け付けると発表した。認識した商品を紹介したり、把握していない商品もインターネット経由で情報を検索して学習したりする機能を搭載し、接客などに利用できる。レンタル料金が月額5万5000円(消費税抜き)。孫正義社長は同日に開いた法人向けイベントで、「集客効果を期待できる」と述べた。ペッパー・フォー・ビズは顧客の年齢や性別、感情など接客に関連するデータを収集・分析し、マーケティングに活用できる。あいさつや、商品のプレゼンテーション、担当者への来客情報の通知などのアプリケーション(応用ソフト)を搭載する。

トヨタも生活支援ロボット「HSR」でプラットフォーム提供


日刊工業新聞2014年9月2日付


 トヨタ自動車はサービスロボットの開発環境を1年内にオープン化する。基盤となるプラットフォーム機を2015年までに提供した上で、用途別のアプリケーションは社外の技術者やユーザーを巻き込んで開発する体制を築く。多目的なロボットを現場のニーズに沿って実用化するには、「クラウドソーシング」のように、より多くの知恵を結集することが必要と判断、オープン化にカジを切る。同様に生活ロボの開発を進めるソフトバンクや米インテルなどもオープン化を志向しており、家庭用ロボットをめぐるプラットフォーム競争が加速しそうだ。

 トヨタはプラットフォーム機として生活支援ロボット「HSR」の次期モデルを2015年までに開発し、大学研究室などに提供する方針だ。

 家庭で使うことを想定したサービスロボットには掃除・洗濯など幅広い機能が求められ、担う作業(タスク)は多い。ユーザーごとに操作インターフェースを変えるような工夫も必要となる。そこでスマートフォンのアプリケーションソフト開発のように、社外の技術者やユーザーを巻き込んだ開発環境を構築する。

 開発したタスクをユーザー間で共有したり、購入できるといった仕組みについても検討している。多様な家事・作業を整理し、タスクに落とし込むため家政学研究者らとも協議している。

 応用的な開発には協力して取り組むことで、より確かな解決策を迅速に見いだせる。一方、トヨタは機体のコストダウンなど基礎開発に時間を振り向けられる。

 トヨタは手足が不自由な難病患者や高齢者の自立支援を目的に「HSR」を開発している。落ちた物を拾ったり、離れた場所から薬を取ってくるなどの軽作業の代行を狙いに実用化を目指す。

 家庭用ロボットをめぐっては、ソフトバンクが「ペッパー」を15年2月に発売予定で、これをプラットフォームとして開発ツールを9月中に公開する。開発をオープン化することでメーカーの保証外でさまざまなタスク開発が進むと予想されている。米インテルも3Dプリンターで作製できるロボット「ジミー」の構想を発表。スマホのアプリのように機能を付加できるロボットを1000ドル以下で発売する予定だ。
日刊工業新聞2015年07月31日 4面
中島賢一
中島賢一 Nakajima Kenichi
インテル社のオープンソースロボットのjimmyは3Dプリンタで作成が可能になっており、もはや自分で好きなロボットの開発が可能になりつつある現在、ペッパーの進化が気になるところです。IoTとメイカーズをテーマに活動しているテクノロジーベンチャーも増えており、企業の大小より事業構築のスピード感がますます要求される時代になりました。

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