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丸井が期間限定店舗で実施、シェアリングサービスの狙い

有楽町店に11月1日まで
丸井が期間限定店舗で実施、シェアリングサービスの狙い

丸井グループはシェアリング文化を醸成していくために外部の事業者と共創する(有楽町マルイ1階の特設コーナー)

 物品を複数人で共有したり貸し借りしたりするシェアリングサービスが広まる中、小売業とファッションレンタルの協業という新たな動きが出てきた。丸井グループは有楽町マルイで、ファッションとシェアをテーマにした期間限定店舗を開設している。消費行動が大きく変わる流れの中で、シェアリングプロジェクトを進める狙いを探った。

 JR有楽町駅中央口前の広場に面した有楽町マルイの1階出入り口近く。買い物客がふと足を止めるスペースがある。時計、バッグ、レディスアパレルなど、月額料金制のファッション、レンタルサービス事業者が、11月1日までの期間限定で売り場を開いている。

 今回出店したのはブランド腕時計のKARITOKE(カリトケ)、ブランドバッグのSHAREL、レディスアパレルのEDIST.CLOSETの3ブランド。このうちカリトケを展開するクローバーラボ(大阪市北区)は有楽町マルイに常設店舗を構える。

 今回のイベントでクローバーラボは、一般客から腕時計を預かるシェアリングサービス「KASHITOKE(カシトケ)」を、新機能として追加した。同社の小山力也社長は「シェアリングサービスの構想は当初からあり、(今回のイベントで)貸す側にも借りる側にも興味を持ってもらいたい」と話す。

 丸井グループは「循環型ファッション」という仕組みを構築するなど、物品の再利用に乗り出している。自社商品に関わらず衣料品やシューズを下取りして再販売する「リユースマーケット」の取り組みの一環として、イベント期間中の1週間限定で中古衣料品を販売した。

 同社は従来の百貨店型から、ショッピングセンター(SC)型への業態転換を進めている。シェアリングサービスへの対応では2018年から、新規事業推進部にシェアリングビジネス担当を置いた。「グループとしてシェアリングの文化を醸成していくために、外部の事業者と共創しながら店舗というリアルの強みを生かしていく」(安東良子新規事業推進部シェアリングプロジェクト担当課長)狙いだ。 

 実店舗を持つ小売りと、ネットを中心にシェアリングサービスなどを展開する事業者の協業は、今後の試金石になりそうだ。
(文=宮里秀司)
日刊工業新聞2018年10月29日

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