北海道から大空へ!中小企業が挑む航空機事業への参入
産学官で連携進めるもハードルは高い
北海道で産学官が連携し、航空機産業への参入を目指す活動が動きだしている。産学官で構成する「北海道航空ビジネス検討会」は9月末、室蘭市で専門家を招いて第1回の勉強会を開催した。航空ビジネスへの足がかりをつかむため、今後も定期的に勉強会などを開き、情報収集する予定だ。参入には品質管理規格の認証取得が必須で、中小企業にはハードルが高い。ただ長期で仕事を確保できる可能性があるため、挑戦する価値はある。
「各企業がビジネスに結びつけることを目的に、企業間の情報交換や将来的には共同受注を担える組織として立ち上げた」。北海道航空ビジネス検討会の事務局を担当する北海道機械工業会の斉藤知行専務理事は勉強会の開催に先立ち、同検討会の趣旨を説明した。
同検討会は道内のモノづくり企業や北海道経済産業局、北海道、室蘭市、北海道大学や室蘭工業大学などが参画して7月26日に発足した。参加企業は14社だったが、勉強会の時には20社に増えるなど関心が高まっている。
だが、航空ビジネスの参入には大きな壁が立ちはだかる。その一つが航空機の品質管理規格の認証取得だ。勉強会で講師を務めたIHIのOB、大村秀樹氏は「『JISQ9100』を最低限持っていないと参入できない」と説明する。
認証取得にはコストや手間がかかり人員が割かれる。認証取得が即仕事につながるわけではないため、経営資源が限られる中小企業には大きな負担だ。勉強会に参加したある中小企業の経営者は「航空機部品の量産といってもそれほど量が出るわけではない。どこから仕事を受注できるかわからない段階でお金や人をかけるのは厳しい」と本音を明かす。
とはいえ、まったく受注機会の望みがないわけではない。日本製鋼所室蘭製作所(室蘭市)が、航空機の構造部材用の炭素繊維樹脂複合材を生産する意向を表明。新明和工業の協力を得て航空機産業に参入する意欲を見せる。将来は地元の中小企業に仕事が出てくる可能性がある。室蘭市はこうした動きを踏まえ、市内企業向けに品質管理規格の認証取得や、航空機部品の製造プロセス改善を支援する事業を実施する。
大村氏は「参入するまでは大変だが、参入後は長期の付き合いができる」と航空機産業の特徴を指摘する。時代の変化が激しい中、安定的に仕事を確保できるのは中小企業にとって大きな魅力。航空機産業は今後も世界的に市場拡大が見込まれるだけに、参入に挑戦する企業が増えれば北海道のモノづくり力の向上にもつながる。
(文=札幌支局長・村山茂樹)
産学官で勉強会
「各企業がビジネスに結びつけることを目的に、企業間の情報交換や将来的には共同受注を担える組織として立ち上げた」。北海道航空ビジネス検討会の事務局を担当する北海道機械工業会の斉藤知行専務理事は勉強会の開催に先立ち、同検討会の趣旨を説明した。
同検討会は道内のモノづくり企業や北海道経済産業局、北海道、室蘭市、北海道大学や室蘭工業大学などが参画して7月26日に発足した。参加企業は14社だったが、勉強会の時には20社に増えるなど関心が高まっている。
認証取得が関門
だが、航空ビジネスの参入には大きな壁が立ちはだかる。その一つが航空機の品質管理規格の認証取得だ。勉強会で講師を務めたIHIのOB、大村秀樹氏は「『JISQ9100』を最低限持っていないと参入できない」と説明する。
認証取得にはコストや手間がかかり人員が割かれる。認証取得が即仕事につながるわけではないため、経営資源が限られる中小企業には大きな負担だ。勉強会に参加したある中小企業の経営者は「航空機部品の量産といってもそれほど量が出るわけではない。どこから仕事を受注できるかわからない段階でお金や人をかけるのは厳しい」と本音を明かす。
室蘭生産追い風
とはいえ、まったく受注機会の望みがないわけではない。日本製鋼所室蘭製作所(室蘭市)が、航空機の構造部材用の炭素繊維樹脂複合材を生産する意向を表明。新明和工業の協力を得て航空機産業に参入する意欲を見せる。将来は地元の中小企業に仕事が出てくる可能性がある。室蘭市はこうした動きを踏まえ、市内企業向けに品質管理規格の認証取得や、航空機部品の製造プロセス改善を支援する事業を実施する。
大村氏は「参入するまでは大変だが、参入後は長期の付き合いができる」と航空機産業の特徴を指摘する。時代の変化が激しい中、安定的に仕事を確保できるのは中小企業にとって大きな魅力。航空機産業は今後も世界的に市場拡大が見込まれるだけに、参入に挑戦する企業が増えれば北海道のモノづくり力の向上にもつながる。
(文=札幌支局長・村山茂樹)
日刊工業新聞2018年10月25日