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住設メーカーはなぜバリアフリー製品を強化するのか

高齢者介護のニーズ取り込みに試行錯誤
住設メーカーはなぜバリアフリー製品を強化するのか

LIXILの車いす対応型キッチン。座りながらの使い勝手を研究・検証した

 TOTO、大建工業、YKK APの3社によるTDY連合や、LIXILなど住宅設備メーカーが、高齢者や障がい者が快適に過ごせるような住宅・施設向け商品の刷新や提案を強化している。介護が必要になってから、後付けで対応できるようにするなど、デザインや設計を工夫し、リフォーム需要の拡大にもつなげている。

技術を共有


 TDY連合は、3社でコンセプトや技術を共有し、各社の強みを生かした空間を提案している。TOTOの「ベッドサイド水洗トイレ」を設置した寝室がその一例だ。ベッドサイド水洗トイレは汚物を粉砕機で粉砕し、流せる状態まで細分化。その後圧力をかけてホースを通じて室外へ送る仕組みだ。寝室には、大建工業の消臭効果もある天井材やYKK APの断熱性の高い樹脂窓も一緒に展示し、3社連合としての一体感を生み出している。

リフォーム需要


 2002年にTDYアライアンスを結んでから、17年目を迎え、各社リフォーム需要を喚起している。YKK APのリフォーム向け「かんたんドアリモ アウトセット玄関引戸」は、売り上げが17年比で2倍と大きく伸びた。車いすでも簡単に出入りできるため、高齢者や障がい者も使いやすい設計だ。また、既存のドア枠に新しい枠をかぶせる工法により、短時間でリフォームできる。

社員の声生かす


 LIXILは車いす対応のキッチン「ウエルライフ」を全面刷新し、10月に販売を始めた。車いす使用者の料理法を研究するなど、座りながらの使い勝手を研究・検証し、製品化した。「車いすを使用している社員の声も開発に生かした」(同社)。

 座ったままでも使いやすく動きやすいデザインや設備の機能性にこだわった。加熱調理や調理、水まわりの各場所で足元をさえぎらない設計になっているため、下ごしらえから加熱調理、洗い物まで自然な姿勢で作業ができる。

 国内では高齢化が進む中、高齢者介護など福祉市場も拡大している。各社は、こうした商品の提案を強化し、高齢者介護のニーズの取り込みを狙う。
(文=高島里沙)
日刊工業新聞2018年10月17日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
新設住宅着工戸数の減少が見込まれる中で、リフォーム需要を拡大すべく各社で試行錯誤が続いています。

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