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三井不動産がアウトレット事業で台湾に重きを置く理由

2022年にも三大都市圏すべてに進出
三井不動産がアウトレット事業で台湾に重きを置く理由

22年をめどに開業する「三井アウトレットパーク台南(仮称)」(イメージ)

 三井不動産はアウトレット事業で、2022年にも台湾の三大都市圏すべてに進出を果たす。16年に台湾法人を設立し、同年「三井アウトレットパーク台湾林口」(新北市)を開業した。さらに、22年までに台中市と台南市で2施設の稼働を計画する。国内の同事業で蓄積した知見を集約・展開し、25年度までの長期経営方針で3本柱の一つに位置付ける「海外事業の飛躍的な成長」につなげる。

 三井不動産が台湾に重きを置く最大の理由は、アジアでも有数の経済規模を誇る市場だからだ。加えて、高い親日性という好材料も備える。日系テナントのアウトバウンド(海外展開)ニーズに応える上でも、これ以上ない環境だ。実際、16年に始動した「三井アウトレットパーク台湾林口」の売り上げは順調に拡大しており、「台湾への期待値はますます高くなっている」(同社)という。

 発達した交通網も、アウトレットモールの新設には追い風だ。台湾では鉄道や道路網の充実に伴う交通利便性の向上が好感され、郊外の人口が急増。これを背景に消費スタイルにも変化が出ているようで、都心部では客足が遠のく百貨店が増えているという。代わりに存在感を放っているのが、フードコートなどの飲食施設や娯楽施設を併設した郊外の大型ショッピングモールだ。

 この流れを踏まえ、三井不動産は12月にも台湾で2カ所目となる「三井アウトレットパーク台中港」を開業する予定だ。延べ床面積は約6万平方メートルで、約170店舗が入居。台中港エリアを一望できる観覧車や雪のテーマパーク、室内遊園地なども備える。台中市の中心部から約22キロメートルに位置し、フェリーターミナルに隣接。台中空港や高速・幹線道路からのアクセスの良さも訴求していく。

 22年をめどに開業する「三井アウトレットパーク台南(仮称)」も人気を集めそうだ。第1期の延べ床面積は約6万平方メートルで、約160店舗が入居。25年には約60店舗を集めた第2期も計画する。ファッションやスポーツブランドをはじめ、日系飲食店やご当地グルメを楽しめる施設も設置。エンターテインメント施設も設け、台南市や高雄市を含む南部都市圏のほか、国内外から集客を見込む。
(文=堀田創平)
日刊工業新聞2018年10月10日

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