「冷房を入れた方がいいよ」…。ロボットが声をかける高齢者の生活支援
サービス開始へ
ユカイ工学(東京都新宿区、青木俊介社長)は、独自のコミュニケーションロボット「ボッコ」を使ったサービスで電力会社やガス会社などとの協業を進める。22日から中部電力などと共同で、高齢者を対象にした声かけサービスを始める。ユカイ工学は東京ガスや東北電力とも家族間のコミュニケーションサービスで連携している。ボッコの特徴を生かし、少子高齢化で増える高齢者関連の需要を取り込む考えだ。
ユカイ工学のボッコは卓上サイズで、スマートフォンと音声メッセージをやりとりできる。外部からスマホで送った文字メッセージをボッコが読み上げることもできる。住宅に設置した各種センサーの情報と連動し、ドアの開閉や部屋の温湿度の変化、照明のオンオフなどの情報を外出した利用者のスマホに通知する機能もある。
中部電やプレステージケア(名古屋市中区)とのプロジェクトは高齢者への声かけサービス。これらはボッコの機能を生かしたものだ。離れた場所で暮らす家族が、独り暮らしの高齢者の生活状態をボッコから確認できる。例えば、電話がなく、数日前に脳卒中で倒れていた、といった事態を防ぐことができる。
高齢者の生活見守りサービスでは、電気ポットや炊飯器などの家電を利用した見守りサービスがある。だが、これらは家電を使わないと状況を把握できない。ボッコは部屋やドアに取り付ける人感センサーや温度センサーに連動するため、こうした制約がない。
また、カメラを使った見守りサービスもある。しかし、高齢者にとって常に生活をみられる精神的負担が大きく、カメラにタオルなどをかけて隠してしまう、といったケースが多いという。
ボッコはサイズが小さく、高齢者から「見られている」と思われる負担が軽い。ボッコの視界の外に高齢者がいても各種センサーとの連動でカバーできる。
高齢者の生活面のトラブルは細かく多岐にわたる。例えば、エアコンを使わず我慢することや、冷房のつもりで暖房にしていたといった空調面の事柄だ。こうしたトラブルの防止にボッコが役立つ。福祉施設職員が「エアコンを使いましょう」などと声をかけても対応しない高齢者は多い。だが、ボッコが「冷房を入れた方がいいよ」など話しかけると、すんなり受け入れるケースが多いという。
ボッコの価格は消費税抜きで2万9000円。他のコミュニケーションロボットより安いが、独り暮らしの高齢者が購入するには高額だとの指摘もある。電力会社やガス会社との協業プロジェクトには、利用者に「ロボットを買った」と意識させず、電力会社やガス会社の月々のプランに上乗せ、または無料サービスにすることで負担感を和らげる狙いがある。
(文・嶋田歩)
「ボッコ」活用
ユカイ工学のボッコは卓上サイズで、スマートフォンと音声メッセージをやりとりできる。外部からスマホで送った文字メッセージをボッコが読み上げることもできる。住宅に設置した各種センサーの情報と連動し、ドアの開閉や部屋の温湿度の変化、照明のオンオフなどの情報を外出した利用者のスマホに通知する機能もある。
中部電やプレステージケア(名古屋市中区)とのプロジェクトは高齢者への声かけサービス。これらはボッコの機能を生かしたものだ。離れた場所で暮らす家族が、独り暮らしの高齢者の生活状態をボッコから確認できる。例えば、電話がなく、数日前に脳卒中で倒れていた、といった事態を防ぐことができる。
制約少なく
高齢者の生活見守りサービスでは、電気ポットや炊飯器などの家電を利用した見守りサービスがある。だが、これらは家電を使わないと状況を把握できない。ボッコは部屋やドアに取り付ける人感センサーや温度センサーに連動するため、こうした制約がない。
また、カメラを使った見守りサービスもある。しかし、高齢者にとって常に生活をみられる精神的負担が大きく、カメラにタオルなどをかけて隠してしまう、といったケースが多いという。
ボッコはサイズが小さく、高齢者から「見られている」と思われる負担が軽い。ボッコの視界の外に高齢者がいても各種センサーとの連動でカバーできる。
トラブル防止に
高齢者の生活面のトラブルは細かく多岐にわたる。例えば、エアコンを使わず我慢することや、冷房のつもりで暖房にしていたといった空調面の事柄だ。こうしたトラブルの防止にボッコが役立つ。福祉施設職員が「エアコンを使いましょう」などと声をかけても対応しない高齢者は多い。だが、ボッコが「冷房を入れた方がいいよ」など話しかけると、すんなり受け入れるケースが多いという。
ボッコの価格は消費税抜きで2万9000円。他のコミュニケーションロボットより安いが、独り暮らしの高齢者が購入するには高額だとの指摘もある。電力会社やガス会社との協業プロジェクトには、利用者に「ロボットを買った」と意識させず、電力会社やガス会社の月々のプランに上乗せ、または無料サービスにすることで負担感を和らげる狙いがある。
(文・嶋田歩)
日刊工業新聞2018年10月10日