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自動貯金アプリ “ためる”をITで楽しく

「時代を拓く 金融イノベーター」ネストエッグ社長・田村栄仁氏
自動貯金アプリ “ためる”をITで楽しく

finbee公式ページより

 ネストエッグ(東京都中央区)は、貯金の目的や目標金額、貯金の方法を簡単に設定できる自動貯金アプリケーション「finbee(フィンビー)」を手がける。「貯金をもっと楽しく、カンタンに」をコンセプトに、2016年12月にサービスを開始。5月には累計貯金額10億円を突破した。

 創業した田村栄仁社長は三和銀行(現三菱UFJ銀行)出身。7年半の銀行業務を経てライブドアに転身した。コンサルティング会社の設立やインドネシアのローカル銀行のIT担当役員なども経験した。親会社のインフキュリオン・グループ(東京都千代田区)の創業メンバーとは従前からの知り合いで、同社と共同出資で起業した。

 「目的を設定し、そこに向けて貯蓄するサービスが海外にあることを知り、お金をためるという行為をITの力を使って支援したい」(田村社長)と考え、フィンテック(金融とITの融合)サービスに乗り出した。

 自動で元口座から目的に合わせた金額や頻度で貯金する「つみたて貯金」のほか、「おつり貯金」、1日当たりの歩数に応じて貯金したりしなかったりする「歩数貯金」といった貯金方法などを決め、自動で無理なく貯める。利用には提携する銀行の口座との連携が必要で、口座接続先は現在、住信SBIネット銀行、みずほ銀行、千葉銀行など6行。りそなグループなどとも接続準備中で、応用プログラムインターフェース(API)を活用した接続先を着実に広げている。

 9月から利用者の拡大策にも着手した。提携する銀行口座を持っていなくてもフィンビーを体験できる「おためし貯金」と、季節やイベントに合わせてフィンビーから貯金プランを提案する「おすすめ貯金」の提供を開始。潜在ユーザーを誘引する。

 「お金をためることは手段」と言い切る田村社長が描く成長戦略は、ためる機能を中核に、旅行や自動車の購入など消費や投資にスムーズにつなげることにある。今後、旅行代理店や自動車販売店などと連携も視野に入れる。「モノを買う時には支払い行為が必ずある。そのための決済機能も組み込んでいきたい」と意気込む。

【基礎データ】▽売上高=非公表▽所在地=東京都中央区日本橋人形町3の4の7▽従業員=14人(9月現在)▽設立=2016年4月

日刊工業新聞 2018年9月28日
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
日刊工業新聞では毎週金曜日に連載「時代を拓く 金融イノベーター」を掲載しています。

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