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博士人材データベースに東大や京大が加わる。採用や仲介に役立つ!?

文科省傘下の科学技術・学術政策研究所、さらに進路追跡の精度高める
 文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が手がける博士人材データベース「JGRAD(ジェイグラッド)」に東京大学京都大学など8大学が加わり、計20大学になった。参加大学が大幅に増えたことで進路など全体の傾向を把握しやすくなる。博士人材の企業での採用を仲介するシステムなど、新たな仕組みの構築にも役立つと期待される。

 ジェイグラッドは博士課程在籍・修了者(年約1万5000人)が自ら情報を入力するデータベース。大学が把握しきれない進路について追跡すると同時に、博士人材活用の情報を集約する。NISTEPと大学側の協力によって構築・運用し、2014年度に試行を始めた。

 新たに参加したのは、後期博士学生数が6000人に上る東大をはじめ、同約3600人の京都大学、それぞれ約2700人台の東北大学九州大学のほか、豊橋技術科学大学、奈良女子大学、熊本大学、東京理科大学名古屋大学を除く旧帝大がすべて加わり、ジェイグラッドの信頼性が向上することになる。

 大学側は、ジェイグラッドを使って分野別の進路を調査することや、他大学と比較することが可能になる。一方、国は人材の雇用状況と、在学時の国の支援事業を関係づけて政策立案に生かすことができる。現在、在学生の入力が始まった段階で、先進の慶応義塾大学で基本情報の登録を済ませたのは、参加可能になった学生のうち6割程度だ。博士人材をキャリア情報入手などで引きつけるため、さらなる工夫が必要になりそうだ。

注目の研究者10人を選出「2014年版」


 科学技術・学術政策研究所(NISTEP=ナイステップ)は2014年の注目の研究者10人を「ナイスステップな研究者」として選定した。約2000人の専門家による調査などから、今回は若手を意識して選出、平均年齢は39歳となった。名前と所属・肩書は以下の通り。
 ▽井垣達吏京都大学大学院生命科学研究科教授
 ▽猪熊泰英東京大学大学院工学系研究科講師
 ▽梶村真吾カリフォルニア大学サンフランシスコ校アシスタントプロフェッサー
 ▽佐竹暁子北海道大学大学院地球環境科学研究院准教授
 ▽舘知宏東京大学大学院総合文化研究科助教
 ▽谷口正輝(まさてる)大阪大学産業科学研究所教授
 ▽東山哲也名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所教授
 ▽星貴之名古屋工業大学若手研究イノベータ養成センター特任教員
 ▽前田理(さとし)北海道大学大学院理学研究院准教授
 ▽望月優子理化学研究所仁科加速器研究センター研究ユニットリーダー
日刊工業新聞2014年12月24日/ 2015年07月23日科学技術・大学面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
この個人情報が漏れたら大変だ。国がこのDBを作る意義をもっとはっきりさせないと宝の持ち腐れだし、博士側も登録しようと思わない。

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