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NHKがはり・きゅうの遠隔授業、視覚障がい者の指をアームで誘導

NHKがはり・きゅうの遠隔授業、視覚障がい者の指をアームで誘導

ツボの位置などを遠隔授業で学べる(イメージ)

 NHKは視覚障がい者向けに、はり・きゅうの遠隔教育支援システムを開発し、10月にも実証実験を始める。同システムは、はり・きゅうを学ぶ生徒の指をロボットアームで触覚ディスプレー上へ誘導する。指先で感じる振動や凹凸を基に、人体にある約数百の経穴(ツボ)の位置などを効率良く学習できる。教師は一度に複数の生徒に遠隔で授業できるため、負担軽減にもつながる。理解しやすい授業構成などの検証を重ね、実用化を目指す。

 NHKは、視覚・聴覚に障がいのある人を入学対象とした筑波技術大学と連携し、遠隔での模擬授業を実施する。同大の教員が別室にいる視覚障がい者数人に向けて実証する。

 遠隔模擬授業は、教師と生徒がそれぞれ1台ずつ、ロボットアームと触覚ディスプレーを用いる。教師は音声でツボの名称や位置を説明しながら生徒の指を誘導する。

 生徒は指先で感じる振動や凹凸で学習する仕組み。教師と生徒のロボットアームの動きを相互に連動する機能も搭載。生徒は授業中に質問がある場合、指を止めることで授業を中断し、教師に再説明を促せる。

 視覚障がい者に図形やグラフなどを音声のみで説明するのは難しいという。NHKは視覚障がい者の指をロボットアームで誘導して図形などの輪郭に沿ってなぞらせることで、人による誘導と同様の効果を得られることを確認。触覚ディスプレーと組み合わせることで教育向けにも応用できると判断し、研究を重ねてきた。
                  
日刊工業新聞2018年9月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
視覚障がい者は国家資格を取得し、はり師・きゅう師として働くことが多い。今回のシステムが実用化すれば、離れた場所にいても授業を受講できるため、就業支援にもつながって欲しい。

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