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気象予報士がデータアナリストに!?

気象情報のビジネス活用など加速、気象庁が環境整備に乗り出す
 気象庁は、最新の情報通信技術(ICT)により多様な気象情報・データを活用する環境整備に乗り出す。IoT(モノのインターネット)により収集・蓄積されたビッグデータ(大量データ)について、観測の条件・手法の規制緩和を検討。品質が把握できるようにして流通させる。また気象庁が保有するデータは、人工知能(AI)解析に適した機械読み取り形式でも提供する。

 これにより製造業やサービス業の新ビジネス、健康やレジャーなど生活、外国人を含む防災のニーズに応え、超スマート社会「ソサエティー5・0」を実現する。

 国土交通省交通政策審議会気象分科会の提言「2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」(案)で1日、打ち出した。

 気象のビッグデータ・AI解析によるビジネス展開は、家電や食品の製造・販売、天候に応じた自動運転車、エネルギー需給計画、農業の効率化などで期待されている。

 個人では熱中症対策など健康管理や、訪日外国人を含む外出先での災害対応など新サービスが考えられている。

 そのため今後、ユーザーが情報の質を理解できるよう「観測の手法や機器を明示」「気象庁データとともに提供」など条件を付けたうえで、情報の流通を促進。関連事項の規制緩和を検討する。

 併せてデータに対する一般ユーザーの理解を、気象庁の会員制交流サイト(SNS)などで高める。気象予報士が「気象データアナリスト」になり、データ活用を提案することも想定している。

 国は気象情報に関し、技術的な裏付けがない不正確な情報が社会に出回るのを防ぐため、気象庁以外に気象予報をする事業者を許可制とし、観測・予測の手法や機器を規制している。

 こうした制度の下で気象庁は、気象の情報・データを自治体や民間事業者に提供しているが、近年は気象データを多くの分野で使うスマートフォン用アプリのサービスなどが急発展。観測・予測の機器も、さまざまなIoT機器が活用されるため、制度や規制の再検討が必要になっている。
                  
日刊工業新聞2018年8月2日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
気象データの活用機運が高まっています。菓子メーカーやアパレルメーカーなどの間で気象情報を基にした商品の需要予測を行っている企業が出てきているようです。

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