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マネックスグループの松本社長が語る“コインチェック”の生かし方

マネックスグループの松本社長が語る“コインチェック”の生かし方

マネックスグループの松本大社長CEO

 マネックスグループの松本大社長CEOは、日刊工業新聞のインタビューに応じ、完全子会社化したコインチェック(東京都渋谷区)の金融庁への仮想通貨交換業者の登録へ向けて、「外部からの知見も入れるなど、段違いの水準でセキュリティーを強化している」と強調した。あわせてコインチェックの登録業者認可の取得を前提に、米国における仮想通貨事業の展開に意欲を示した。

 ―コインチェックを傘下に収めた狙いは。
 「昨年10月にマネックスグループは“第二の創業”を打ち出し、仮想通貨やブロックチェーンなど、しっかりと自分たちのテーマとして取り組むとしていた。ただ、ブロックチェーンのエンジニアは社内にそれほどいない。そうした中、仮想通貨分野で、はるか前方にいるコインチェックで流出問題が起き、パートナーが必要だった。コインチェックのブランドや顧客基盤、知名度は大きく、結果として一緒に取り組むことになった」

 ―人材育成はどうなっていますか。
 「コインチェックはIT系スタートアップの企業だ。一方で、社会的に見ると、仮想通貨の交換業者は金融機関のような体制も必要だという考え方にシフトしてきている。コインチェックが持つ若いIT系の活力をなえさせないようにしながら、融合させていくことが大事だ」

 ―相乗効果の期待は。
 「マネックス証券は約170万口座あり、コインチェックは見込み客を入れると、ほぼ同じ規模のユーザーがいる。マネックス証券の主なユーザーは35歳以上だが、コインチェックは10代から30代前半が中心で、重複しない。それぞれの顧客に新しい投資の提案が可能になる」

 ―今後の展開は。
 「金融庁の認可を受けて登録業者となることが前提となるが、米国で仮想通貨事業に参入できないか、検討している。交換所を米国に新設するのではなく、コインチェックのサービスを英語化するなど、ノウハウを活用する方向で考えている」
(聞き手・浅海宏規)
日刊工業新聞2018年7月27日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
松本社長は、コインチェックとの融合のイメージとして、バラの接ぎ木を例に挙げる。土台のノイバラに接ぎ合わせるバラの枝を挿して、数を増やすもので、“ハイブリッド(複合型)”の構造とも言える。足元では米国における事業の収益が安定してきている。仮想通貨ビジネスにおいても米国における次の一手が注目される。 (日刊工業新聞社・浅海宏規)

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