MRJ新規需要30機?三菱重工がインドネシアで航空ネットワーク再構築
三菱重工業がインドネシアで空港拡張工事を含めた航空ネットワークの再構築を計画している。事業総額で700億円を超える大規模プロジェクト。実現すると「MRJ(三菱リージョナルジェット)」20―30機以上の新規需要が期待できる。旅客ターミナルの保有、運用などを目的とした特別目的会社(SPC)の設立を想定し、政府系ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)などに出資を要請した。インフラ整備から参画する新たな航空機事業モデルとして注目を浴びそうだ。
航空ネットワーク再構築はジャカルタ一極集中による空路・空港の混雑緩和を目的としている。容量の約3倍で運用せざるを得ない状況になっている中核のスカルノハッタ空港と、約1500キロメートル離れたマカッサル空港を欧エアバス「A330」や米ボーイング「B777」などの中大型機で結ぶ。さらにマカッサル空港を拡張した上で、ハブ拠点として島々などの地方空港にリージョナルジェットを多頻度で飛ばす。
現在はスカルノハッタ空港から中小型の単通路機で地方空港を結んでおり、これが”渋滞“の原因の一つになっている。
三菱重工が今回の発想に至ったのは「なぜMRJがアジアで売れないのか考えた時に、インフラが整っていないことが分かった」(宮川淳一三菱重工執行役員フェロー)ことが背景にある。そこで発想を転換し、MRJが必要とされる航空ネットワークをつくってしまおうということになった。
加えて空港設備や発電システム、熱源機器、空調システム、エネルギーマネジメントなど三菱重工が取り扱うさまざまなインフラ関連機器の需要が期待でき、空港から市内へアクセスするための全自動無人運転車両システム(APM)の受注も視野に入るなど全社の知見が生きる。
インドネシアは世界で4番目に人口が多く、約1万7000もの島々から構成される有数の航空大国。過去10年、インドネシアの航空旅客数は年率平均14%程度伸びた。約300の空港があり「高速道路と競合しない夢のような市場」(宮川執行役員)。
ASEAN域内の航空自由化も進む公算が大きく、まさに需要拡大の黎明(れいめい)期といえる。
具体的なビジネススキームはこうだ。年間1000万人弱が利用しているマカッサル空港を同2100万人対応へと拡張し、「世界一、乗り継ぎしやすい空港」(同)へと装いを一新。事業運営母体として日本企業やインドネシア側が出資するSPCを設立する計画だ。
三菱重工はすでに共同出資者として大手商社やJOINなどに打診しており、国際協力機構(JICA)の海外投融資(出資・融資)活用を想定。8月初旬にもJICAの官民連携(PPP)協力準備調査に採択される公算が大きい。
具体的な検討開始から1年以上が経過しており、ガルーダ航空や航空総局、空港運営会社などを交えた複数回の協議で好感触を得た。17年にも運用を始め、20年以降の本格稼働を目指す。今後は「フィリピンなど他の島国でも事業化の可能性はある」(宮川執行役員)。
航空ネットワークの再構築という、新たなインフラ輸出モデルをつくれるか―。土地収用や事業スキームの詰めなどクリアすべき課題も多い。
混雑緩和
航空ネットワーク再構築はジャカルタ一極集中による空路・空港の混雑緩和を目的としている。容量の約3倍で運用せざるを得ない状況になっている中核のスカルノハッタ空港と、約1500キロメートル離れたマカッサル空港を欧エアバス「A330」や米ボーイング「B777」などの中大型機で結ぶ。さらにマカッサル空港を拡張した上で、ハブ拠点として島々などの地方空港にリージョナルジェットを多頻度で飛ばす。
現在はスカルノハッタ空港から中小型の単通路機で地方空港を結んでおり、これが”渋滞“の原因の一つになっている。
発想の転換
三菱重工が今回の発想に至ったのは「なぜMRJがアジアで売れないのか考えた時に、インフラが整っていないことが分かった」(宮川淳一三菱重工執行役員フェロー)ことが背景にある。そこで発想を転換し、MRJが必要とされる航空ネットワークをつくってしまおうということになった。
加えて空港設備や発電システム、熱源機器、空調システム、エネルギーマネジメントなど三菱重工が取り扱うさまざまなインフラ関連機器の需要が期待でき、空港から市内へアクセスするための全自動無人運転車両システム(APM)の受注も視野に入るなど全社の知見が生きる。
インドネシアは世界で4番目に人口が多く、約1万7000もの島々から構成される有数の航空大国。過去10年、インドネシアの航空旅客数は年率平均14%程度伸びた。約300の空港があり「高速道路と競合しない夢のような市場」(宮川執行役員)。
ASEAN域内の航空自由化も進む公算が大きく、まさに需要拡大の黎明(れいめい)期といえる。
具体的スキーム
具体的なビジネススキームはこうだ。年間1000万人弱が利用しているマカッサル空港を同2100万人対応へと拡張し、「世界一、乗り継ぎしやすい空港」(同)へと装いを一新。事業運営母体として日本企業やインドネシア側が出資するSPCを設立する計画だ。
三菱重工はすでに共同出資者として大手商社やJOINなどに打診しており、国際協力機構(JICA)の海外投融資(出資・融資)活用を想定。8月初旬にもJICAの官民連携(PPP)協力準備調査に採択される公算が大きい。
具体的な検討開始から1年以上が経過しており、ガルーダ航空や航空総局、空港運営会社などを交えた複数回の協議で好感触を得た。17年にも運用を始め、20年以降の本格稼働を目指す。今後は「フィリピンなど他の島国でも事業化の可能性はある」(宮川執行役員)。
航空ネットワークの再構築という、新たなインフラ輸出モデルをつくれるか―。土地収用や事業スキームの詰めなどクリアすべき課題も多い。
日刊工業新聞 2015年07月16日 機械・ロボット・航空機