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<矢島里佳の新聞clip7.17号>企業誘致は地域の文脈が大切

外から産業を移植するより、いかに外と協力して地域色の強い産業を育てるか
 連載中の「和える」の矢島里佳代表の新聞clip

 1週間の日刊工業新聞の記事の中から3本、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 今週、選んだのはこの3本です。
 ●「三つ子の魂、百まで」ご存じかな(友さんのスケッチ=7月10日付)
●過疎地域への企業誘致加速(足利銀行頭取インタビュー=7月15日付)
●物流がつくる新ビジネス(日刊工業新聞社那覇支局開設記念特集=7月15日付)
 これからの企業誘致は、地域の文脈を大切に考えた上で行うことが大切だと思います。外から産業を移植するとよりよい条件の地域があれば、すぐに動いてしまいます。そうではなく、その地域ならではの魅力から生まれる産業を、いかに地域と外の企業とが協力し、地域色の強い産業に育て上げるかが重要ではないでしょうか。

“働く場”として魅力追求


 「地銀トップに聞く地方創生」 松下正直足利銀行頭取
 ―地方自治体による「地方版総合戦略」の策定が急ピッチで進められています。
 「まず、各自治体がこれまでに行った地域振興に関する取り組みを自らが検証しなければならないと考えている。この検証を踏まえ、実効性が高かった施策は踏襲し、効果が薄かったものは積極的に見直す姿勢が求められる。今後、地域性が反映された課題が多く挙がってくる。この機会を『地域貢献の最大のチャンス』と捉え、当行が持つノウハウなどを最大限に発揮し地元金融機関として地域社会から求められる役割を果たしたいと考えている」

 ―栃木県における「地方創生」のキーポイントは。
 「この課題に取り組む他県の自治体も多いと思う。『人口減少』をどのように食い止めるか。これが栃木県の大きな課題の一つ。これには安定した雇用環境を地域に作り出し”働く場“としての栃木県をもっと魅力あるものにしなければならない。これと並行して、栃木県から退出する企業数を減らす施策も打ち出すべきだ」

 ―地方創生に関し、行内体制を再構築しました。
 「地方創生の中で金融機関が関与できる分野は多岐にわたる。経営から本部担当部署、営業店の現場まで、行内横断的な組織が必要だと考え、『地方創生推進プロジェクトチーム』を立ち上げた。また、足銀グループのあしぎん総合研究所のコンサルティング機能をフルに活用できるのも当行ならではの強みと言える」
 
 ―具体的な関与方法やビッグデータ対応への支援は。
 「指定金融機関になっている自治体においては、地方版総合戦略策定の審議組織に営業店の支店長を推進リーダーとして参画させている。これに本部の地域振興部がサポート役となり、具体的な解決策を提供する。また、各自治体でビッグデータの取り扱いが始まる。あしぎん総合研究所を通じ、加工法などの支援も積極的に実施する用意がある」

 【記者の目/過疎地域への企業誘致加速】
 首都圏への良好なアクセスなどを背景に、県央・県南部の産業団地の分譲が好調だ。一方、県北部は空き区画が目立つ。県や市町と金融機関が連携を密にし、過疎地域が集中する県北部の企業誘致を加速させたい。県北部に「働く場」を創出し、県央部への人口集中を解消できるか。地銀としてのアレンジ力が求められる。
(聞き手=小野里裕一)
矢島里佳
矢島里佳 Yajima Rika 和える 代表
友さんのスケッチ。ふとした電車内での光景ですが、考えさせられます。「三つ子の魂百まで」本当にそうだなぁと思います。どんな声がけを子こどもたちにするか。私も仕事柄たくさんの赤ちゃん・子どもたちに出会いますが、大人の行動を本当によく観察していて、真似しています。子どもたちにいつも見られているという意識を持つと、身も心も引き締まります。 沖縄をハブとした輸送網、驚くほど発達しているのですね。昨日まで海外出張だったので、届かなくて当たり前の世界に久しぶりに触れたせいか、日本の貨物輸送の正確さと時間短縮への飽くなき探究心に改めて敬服しました。

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