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米Boxトップが語る新しい働き方

日本にエネルギーを感じる
米Boxトップが語る新しい働き方

アーロン・レヴィ米Box共同創業者兼最高経営責任者(CEO)〈同社提供〉

 米Boxのクラウド型ファイル共有サービス「box」は、世界で約8万5000の企業や政府、公的機関に採用され、日本でも大手企業を中心に導入が加速している。働き方改革や企業間連携のエコシステム形成にも活用され、仕事の主要なインフラになりつつある。アーロン・レヴィ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)に新しい働き方の展望を聞いた。

 ―日本の市場をどう見ていますか。
 「大好きな市場の一つだ。デジタル時代において仕事の仕方を近代化させていこうと熱心に取り組んでいる。そこにエネルギーを感じる。製造業やライフサイエンス分野のほか、銀行、病院ですら、クラウドコンピューティングで企業文化の変革や事業編成に取り組んでいる」

 ―働き方改革や効率化が叫ばれる日本でどんな価値を提供していきますか。
 「オフィスで働くのではなくて、自分の家族や自分の人生観に充足感を感じられるように時間を費やしたいと誰もが思っている。そのためにはより効率的に仕事をする必要がある。boxは多くの人たちが同じ情報を共有することができる。一緒に働いていなくてもワークフローやプロセスが分かる。プロセス自体を短縮することも可能だ。今までの10倍仕事を減らすことができると考えている」

 ―情報通信技術(ICT)の発達で人間の仕事も変わります。
 「自動化が進むからこそ人間はより尊厳のあるものになる。人間は本来得意な何かを創造したり、知識や知恵を掘り下げて考えたりすることに力を注ぐ必要がある。人間関係やコミュニケーションも重要だ。反復作業はコンピューターが優れている。そういう部分は任せていくべきだ」

 ―5年後、10年後の企業像は。
 「『いろいろな情報を共有して一緒に作業する』ことを実現するプラットフォームを形成することが使命だ。仕事の仕方は常に進化している。5年後や10年後だけでなく『20年後の仕事はどのようなものか』など、未来の仕事の仕方を提供できる基盤を簡単に効率的に提供し続けることに私たちの未来がある」

 ―今年の目標は。
 「国ごとの数値は公表していないが、昨年はグローバル市場全体で5億ドル(約550億円)の売上高があった。今年は6億ドルを目指す。日本は主要な市場だと認識している」
(2018年6月18日 情報通信面)
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
boxのコンセプトはシンプルで「もっと労働時間を少なくしたい」「もっと効率的に仕事をしたい」というニーズに応えることだ。働き方改革にも合致して活用する企業が多くなるかもしれない。導入企業が増えれば、連携がさらに容易になる。新たなイノベーションを生み出す一つの仕組みとして今後の成長に期待がかかる。(川口拓洋)

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