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【今週のリケジョ小町】途上国の水インフラ整備を目標に

メタウォーター 田中 香さん
**ライフライン維持 使命
 流体力学をアカデミックに探求していた田中香さん(27)が選んだ道は、地域の社会インフラであると同時に、ライフラインとしての使命も担う上下水道施設の整備と機能を維持する仕事だった。メタウォーターに入社したのは2年前。現在は上下水道施設の土木設計を担当する。

 生まれ育ちは福岡県です。地元が好きで理系科目が得意だったこともあり、九州大学工学部の地球環境工学科建設都市工学コースに進学しました。大学院工学府では海洋システム工学専攻。船舶の性能向上や、海洋空間を有効利用するための幅広い技術分野が研究対象になります。水の挙動を把握することは船や海洋構造物から切り離せません。純粋に学問としての流体力学が好きでした。

水の価値、バングラで開眼


 大きな転機になったのは、大学院で途上国の環境問題を学ぶプログラムに参加したこと。貧困地域も多いバングラデシュを2週間訪れました。インフラ整備の遅れは深刻で、上下水道があって“当たり前”のように水が使える日本の生活との格差を初めて意識しました。それがメタウォーターに入社した動機です。

 皆さんの日常生活を支える上下水道の仕事に携わることができ、理想と現実のギャップはありません。職場は3割が女性。産休・育休から復職した先輩も多くいます。私はどちらかというと、分からないことを抱え込んでしまうタイプなのですが、上司に相談しやすい雰囲気があり、仕事量が増えた時はグループ全体で作業を進めます。昨秋には母校の後輩が同じグループに配属され、一緒に頑張っています。

休日は東京暮らしをエンジョイ


 休日は舞台を見たり、コンサートを聴きに行ったりして初めての東京暮らしをエンジョイしています。ただ、いつの日か、途上国で水インフラを整備する仕事がしてみたいですね。
 

(文・青柳一弘、写真・北山哲也)
日刊工業新聞2018年6月17日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
水道から流れるきれいな水が毎日使えるのも、田中さんのような方の熱意あってこそですね。

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