体温や機器排熱から効率良く電気を生み出す技術
筑波大が開発、ウェアラブル端末で利用へ
筑波大学エネルギー物質科学研究センターの守友浩教授は、機器廃熱や体温、昼夜の気温差といった周囲の温度変化を電気エネルギーに変換する熱発電技術を開発した。デバイス全体を温めたり冷やしたりすることで充電され、電力を取り出せる。環境中の未利用熱エネルギーを電力変換でき、IoT(モノのインターネット)センサーやウエアラブル(装着可能)端末向けで利用が期待される。
顔料の一種である化合物「プルシャンブルー類似体」を正極、負極に使う。同化合物の起電力の温度係数が、材料組成により大きく異なる特性を利用する。温度変化により両極間の電圧に差が生まれ、電力を得られる。
プルシャンブルー類似体は、ジャングルジムのような骨格を持ち、アルカリ金属イオンをその内部に複数収容できる。イオンを出し入れしても骨格構造が壊れないため放電レートが高く、電流を効率的に取り出せる。
今回、組成の異なる2種類のプルシャンブルー類似体を各極に使い、イオン電池型の試作セルを作った。28度Cと50度Cの温度サイクルで実験した結果、起電力は約30ミリボルト。熱効率は約1%で、理想の最大効率を示す「カルノーサイクル」における理論効率の11%にあたる。熱電変換の効率は高いといえる。
成果はキヤノン財団の研究助成プログラム「産業基盤の創生」によるもの。デバイス全体の温度を変えることで熱電変換するため、生体発電に使える程度の薄膜化や小型化も容易だ。
従来の半導体の熱電効果を利用した熱電変換はデバイス内部での温度差が必要で、小型化は難しかった。
顔料の一種である化合物「プルシャンブルー類似体」を正極、負極に使う。同化合物の起電力の温度係数が、材料組成により大きく異なる特性を利用する。温度変化により両極間の電圧に差が生まれ、電力を得られる。
プルシャンブルー類似体は、ジャングルジムのような骨格を持ち、アルカリ金属イオンをその内部に複数収容できる。イオンを出し入れしても骨格構造が壊れないため放電レートが高く、電流を効率的に取り出せる。
今回、組成の異なる2種類のプルシャンブルー類似体を各極に使い、イオン電池型の試作セルを作った。28度Cと50度Cの温度サイクルで実験した結果、起電力は約30ミリボルト。熱効率は約1%で、理想の最大効率を示す「カルノーサイクル」における理論効率の11%にあたる。熱電変換の効率は高いといえる。
成果はキヤノン財団の研究助成プログラム「産業基盤の創生」によるもの。デバイス全体の温度を変えることで熱電変換するため、生体発電に使える程度の薄膜化や小型化も容易だ。
従来の半導体の熱電効果を利用した熱電変換はデバイス内部での温度差が必要で、小型化は難しかった。
日刊工業新聞2018年6月6日