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「4K」「8K」実用放送まで半年に迫るが…民放やメーカーに慎重姿勢も

放送サービス高度化推進協はイベントで高精細アピール
「4K」「8K」実用放送まで半年に迫るが…民放やメーカーに慎重姿勢も

特徴をアピールする、4K8K放送推進キャラクターの深田恭子さん(左)と野田聖子総務相

 フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」と、同16倍の「8K」の実用放送開始まで半年を切った。総務省や放送事業者などは高精細映像や臨場感などをアピール。関連機器も含めた市場の活性化につなげたい考えだ。一方、放送機器の導入などコンテンツ制作へのコスト増や、対応機器の開発などの影響で、事業者の取り組み方には濃淡がある。4K、8K放送は市民権を得られるか。(政年佐貴恵)

 「円滑な始動はこの半年にかかっている。4K、8Kでないとできない魅力的なコンテンツを充実させてほしい」―。放送サービス高度化推進協会が1日に開いたイベントで、野田聖子総務相は力を込めた。4K8K実用放送は12月1日からBS・CS放送で始まる。1番のメリットは高精細映像による臨場感や現実感だ。

 ただし事業者間で温度差があるのも事実。8Kも見据え積極的に対応コンテンツを増やそうとするNHKに対し、スポンサー収入が中心の民放各社は4K放送開始時期に最大2年の差がある企業も。

 また普及率が高まってきた4Kテレビだが、現状のままで4K放送を受信できる訳ではない。視聴には専用チューナーが必要だ。ここでもテレビメーカー各社の対応に差が出ている。他社に先駆けてチューナー内蔵型4Kテレビを発売するのは、東芝映像ソリューション。ソニーやパナソニックなど他社は年内に外付けチューナーを投入する方針を示すが、内蔵型については「市場やニーズに合わせて検討する」と慎重だ。市場の広がり方が不透明なことに加え、受信用チップの搭載方法について、放送業界とテレビメーカー間で意見が一致していないとの指摘もある。

 2020年に控える東京五輪・パラリンピックは、4K8K放送が普及する格好の契機だ。それまでに市場を確立するには、もう一段の取り組みが必要といえそうだ。
日刊工業新聞2018年6月5日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
民放からしたら「映像を高精細にしたところで広告単価が上がるわけではない」というのが、4K放送に乗り気になれない理由でしょうか。消費者としては家電量販店に並んでいる「4Kテレビ」を買っても専用チューナーを付けないと4K放送を受信できないという状況もわかりづらいところですね。

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