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全国74地域にも広がった「地方版IoT推進ラボ」って何をするの?

経産省・中野課長に聞く
全国74地域にも広がった「地方版IoT推進ラボ」って何をするの?

『地方版IoT推進ラボ』公式サイトより

 経済産業省が、IoT(モノのインターネット)を地方創生の新たな“切り札”として「地方版IoT推進ラボ」を推し進めている。あらゆるモノがインターネットにつながり新しい価値を生み出すIoTを、どう地方の産業振興や人材育成につなげるか。先導役を担う商務情報政策局の中野剛志情報技術利用促進課長に聞いた。

 ―取り組みについて教えてください。
 「IoTビジネスの創出を推進する地域の取り組みを国が選定する『地方版IoT推進ラボ』は、全国74地域に広がった。主な支援としてロゴマークの使用、メルマガやイベントなどの広報、地域プロジェクトや企業などへ専門家の派遣を行っている」

 ―狙いは何ですか。
 「各地域で異なる経営課題を抱えており、農業分野における高齢化や担い手不足をIoTで解消する取り組み、モノづくり分野における生産性向上や省力化についてのIoT活用など多岐にわたる。あらゆるものがインターネットにつながるIoTは、地方の資源との結び付きが非常に高い。また場所を選ばず地元に残りながら仕事ができるため地域活性化につながる。基本的に『好きなようにやって下さい』というのが選定のスタンスだ」

 ―地方版IoT推進ラボにはさまざまな企業や団体が参加して盛り上がっています。
 「例えば、自治体商工部門と地元農協、大学、ベンチャー企業との連携による農業分野のIoT実証事業(北海道士幌町)や、自治体商工部門をハブに教育委員会とITベンダーが中心となって教育分野のプログラミング教育事業を可能にした事例(石川県加賀市)などがある。それぞれの地域の特色を生かし、企業や団体の枠を超えた取り組みが広がった」

 ―今後の展開は。
 「6月上旬にも第4弾の募集を開始する予定だ。今後は『地方版IoTラボ』を横展開して、他の地域支援の施策とも連携できるような仕組みを作ってきたい」
「地方版IoTラボ」は今週開催の「スマートファクトリーJapan 2018」に出展します。
会場マップ&おすすめルートと出展企業の概要がこちらから 
経産省商務情報政策局 中野剛志情報技術利用促進課長
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ヒト・モノ・カネに“地域色”が加わる地方はデータの宝庫だ。ラボが成功したポイントは、従来一つの事業ごとに産学官連携によるプロジェクトが取り組まれていた狭い壁を取り除き、地方におけるIoT導入の敷居を下げたことにある。IoT社会到来の今、地方創生の先進モデルといえそうだ。 (日刊工業新聞・山下絵梨)

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