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日産九州、累計生産1500万台突破!来春には北米向けSUV生産もスタート

ゴーン社長「日本の生産能力を生かす好機」 17年に国内生産110万台への起爆剤に
 日産自動車は9日、九州工場(福岡県苅田町)の累計生産台数が1500万台に達したと発表した。同日、工場で開いた記念式典で西川廣人チーフコンペティティブオフィサー(CCO)は「操業開始から時代の波を結束力で乗り越えて今日がある。国内の主力車種を生産する中核工場だ」とあいさつした。

 1975年の立ち上げ当初はエンジンを生産し、翌年から車両生産を開始。92年に累計生産500万台、04年に1000万台を突破、今年5月に1500万台に達した。11年に日産自動車九州として分社化。高いコスト競争力を持ち、日産の14年度の国内生産の半分を占める国内最大規模の生産拠点。西川CCOは「さらに競争力を高め、累計2000万台を目指して九州のものづくりを盛り上げたい」とも話した。


2016年春からは北米向けSUV「ローグ」も九州で生産へ


 日産自動車は9日、来春から北米向けスポーツ多目的車(SUV)「ローグ(日本名エクストレイル)」の生産を日産自動車九州(福岡県苅田町)で始めると発表した。年産規模は10万台。工場の競争力が上がったことや円安が背景にある。トヨタ自動車ホンダも海外向けの主力車種の生産を始める計画で、低迷する国内の自動車生産が活性化しそうだが、この流れが基調となるかは予断を許さない。

 昨今の円安を受けてカルロス・ゴーン社長は「日本の生産能力を生かす好機」と表明。日本から生産を現地化した北米向けローグを、再び日本から生産して輸出する方向で検討を進めてきたが、同日正式に決定したと発表した。

 2014―15年度と国内生産が目標とする100万台割れとなる見込みだが、16年度に100万台に回復する見通しだ。同日、苅田町で開いた記者説明会で、日産九州の柴崎康男社長は「日本のモノづくりの総力の結果だ」と述べ、地道に続けてきたコスト競争力の高さを強調した。

 トヨタ自動車も北米向け主力車種「カムリ」を国内で生産する方針。米国で富士重工業への委託生産を16年に終えるため日本から輸出を始める。ホンダも小型車「フィット」の北米向けモデルの生産を、日本からメキシコ新工場に移したが、再び日本で生産して輸出する方針だ。英国で生産していた欧州向けモデルも日本からの輸出に切り替える。あわせて5万台の輸出規模となる。

 裾野の広い自動車生産は部品会社への波及も期待できる。「国内の余剰能力が活用できる」(日産系サプライヤー幹部)と歓迎する声が多い。

 だが、各社とも現地で生産して現地で売る“地産地消”の方針に大きな変わりはない。国内市場が先細りする中、国内生産の減少傾向が続くとの見方が多い。「サプライヤーは引き続き受注変動に対応できるよう、対抗策を講じておく必要がある」(浜銀総合研究所の深尾三四郎副主任研究員)と指摘する。

「2017―18年に年間国内生産110万台に」-14年度実績は90万台


 日産自動車の西川廣人チーフコンペティティブオフィサー(CCO)兼副会長は9日、福岡県内で記者団の取材に応じ、2017―18年に年間の国内生産が110万台になるとの見通しを明らかにした。国内向けの小型車や輸出モデルで生産を増やしたい考え。また日産の国内生産能力が最大119万台あることも明らかにした。

 年間の国内生産台数について、「14年度実績の約90万台から110万台になる計画が現在進行しており、17―18年にその水準になる」との見通しを示した。「国内向けモデルの生産が増えて、輸出モデルが作りきれないのが理想だが、その時に国内向けと輸出モデルがどんな配分になるかは未定」と述べた。

 同日、北米向けSUV「ローグ(日本名エクストレイル)」を、来春から九州工場で年10万台規模で生産を始めると発表。「北米向け以外の輸出モデルを国内で生産することもあり得る」と述べた。国内向けモデルについては「小型車『ノート』の存在感を高めたい」と話し、商品力を強化して増産につなげたい考えを示した。
日刊工業新聞2015年07月10日3面& 自動車面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
 九州では最近、トヨタの存在が目立っていますが、地域に根付いている期間で言えば日産の方が長いです。私も小学生のころに社会科見学で見に行った記憶があります。  ただ、日産は韓国も含めた「現地調達」をうたっており、韓国サプライヤーから15%の部品供給を受けています。ここをせめて日本国内からの調達に切り替えてもらえると、地場のモノづくりももっと盛り上がると思うのですが。

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