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【コマツ社長・大橋徹二】「ハードウエアが断然トップでなければいけない」

「やり抜く“DNA”が強さ」
【コマツ社長・大橋徹二】「ハードウエアが断然トップでなければいけない」

コマツ社長・大橋徹二氏

 ―4月から中期経営計画の最終年度に入りました。
 「重点分野が順調に進んでいて、情報通信技術(ICT)で工事全般を支援する『スマートコンストラクション(スマコン)』が国内で普及してきている。建設現場の安全性や生産効率を高めるために、取り組むべき課題がまだまだ残っている。さらに米国や欧州、豪州でもスマコンを実証しているところだ」

 ―無人ダンプトラックの運行システム(AHS)への需要が高まってきました。
 「AHSは証明された技術として鉱山の採掘現場に受け入れられている。鉱山のオーナーは豊富な資金力で決めた投資は実行する。ただ、鉱物資源の市況も回復しつつあるが、慎重な見方は崩していない」

 ―鉱山機械子会社の米コマツマイニング(KMC)との連携も進めています。
 「経理や財務を統合し、共同調達もある程度増やせる。生産面でもKMCとコマツが持つ良さを組み合わせていく。鉱山機械の需要のアップダウンに対応するには、アフターサービスを拡大する必要がある」

 ―設備投資のあり方は。
 「生産設備の能力は心配していないので投資は必要ない。合理化や老朽化した工場の刷新に必要な投資を続けていく。(生産性の改善に必要な)知恵を出し切った上で投資に踏み切る。2018年度はKMCも投資を進める」

 ―建機メーカーの枠を超えたビジネスモデルを構築しています。
 「建設現場などの改善に向けたイノベーションを起こしていくのがコマツの将来像だ。顧客にとって、なくてはならないパートナーを目指す。我々は(建機などの)ハードウエアが断然トップでなければいけない」

 ―競争力の源泉は。
 「きちんとやり遂げることがコマツのDNAだ。戦略は誰でも描けるが、実行することが重要だ。現場にも決めたことを進めるためのしつこさがあり、コマツの強さだ」
日刊工業新聞2018年3月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
 「挑戦する企業 コマツ編」(全17回)の最終回は大橋社長のインタビュー。自分は小松市出身なので、記者としてではなく個人的にも大橋さんとお付き合いがある。中計や在任期間などを考えると、大橋社長体制はこの1年ぐらいが集大成なのかもしれない。大橋時代には海外M&Aも多く、つい先日もスウェーデン社の買収を発表した。大橋さんは自身だけの任期中のパフォーマンスを気にしていない。常に20年、30年後を見据えてた投資をしている。もはやコマツは日本の製造業代表格の一つ。その強さがどう変動していくのか、引きつづき注目していきたい。  挑戦する企業をすべてお読みになりたい方は、ぜひ日刊工業新聞(または電子版)で。

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