「4K」でパナソニックのデジカメ事業は復活したのか!?
仕掛け人に聞く「写真文化は右肩上がり。クラウドサービスを開発しカメラリテラシーを高める」
パナソニックのデジタルカメラ事業が勢いを取り戻してきた。ハイエンド機に搭載したフルハイビジョン(HD)の4倍の解像度を持つ「4K」動画撮影機能を使い、決定的瞬間を800万画素静止画に切り出す新撮影手法「4Kフォト」が、アマチュアからプロまで幅広い層から支持を獲得。単体で常時ネット接続できるコンパクトデジカメは、スマートフォン搭載カメラに飽き足りないユーザーらから注目の的。革新的製品の仕掛け人、杉田卓也パナソニックAVCネットワークス社副社長に話を聞いた。
―「4Kフォト」が高い評価を得ています。
「動物写真家や風景写真家の方々から『長年撮れなかった貴重なワンシーンが撮影できた』と絶賛いただいて、プロの4Kフォト撮影方法を紹介する冊子を出した。各地でフォトスクールも開き訴求している。25日発売のミラーレス一眼カメラは4Kフォトを新しい連写に位置づけ操作性を高めて、撮影モードも増やした。連写性能が高い一眼カメラで毎秒10コマぐらいだが4Kフォトは同30コマ。シャッターの機械振動によるブレもない。同60コマや8K対応品などを今、仕込んでいる」
―スマホの普及と搭載カメラ機能向上で、カメラ市場は年々縮小しています。市場の状況は。
「低価格なコンパクトデジカメはかなり売り上げを落としている。一眼レフはまだ落ち方が緩やか。一方、ミラーレス一眼は前年比5%ぐらい伸びている。軽量化や高速連写機能などが進化しているからだ。レンズ交換式カメラに占めるミラーレスは約3割で、過半も見えてきた。昨年訪れたカメラ大国ドイツの老舗店などでは5割超で、一眼レフと違って値下がりしていなかった」
―スマホの登場で写真を撮る人は増えました。
「写真文化は右肩上がりで、ネットには1日5億枚の写真がアップされている。このうちスマホ搭載カメラで満足できない人たちが、私も含め3%はいるとみている。最近は山に行くとカラフルで軽量なミラーレスを首にかけた“カメラ女子”も多い。ネット常時接続カメラ『CM1』も高画質が特徴で、今までのようにただ写真をアップするだけとは異なる。常時接続を生かし写真を撮ると地図が表示され、周辺の写真が多く撮られているホットスポット(地域)を知らせたり、共有したりするクラウドサービスを開発する。付加価値とカメラリテラシー(情報活用能力)を高める」
【記者の目/通信との融合訴求前面に】
デジカメ事業ではスマホの影響を受ける低価格機を削減して高級機を重視し、規模を追わない利益重視戦略で2015年3月期に黒字化した。営業利益は約1億円で水面に浮上したばかり。16年3月期は2ケタ利益を計画し、ほぼ高級機にシフトする。それ以上に新しい撮影手法やカメラと通信の融合を訴求する姿勢が強みとなる。
(聞き手=松中康雄)
パナソニックは画素数がフルハイビジョンの16倍の「8K」動画撮影に対応したデジタルカメラや放送業務用カメラを開発し、2020年までに順次発売する。8K対応に向け、次期画像処理大規模集積回路(LSI)「第10世代高速画像処理ヴィーナスエンジン」の開発に着手した。一般消費者向けと業務用カメラ関連事業を担うイメージングネットワーク事業部は、同4倍の4K対応品を強化している。東京五輪に向け、8K対応品もそろえていく。
パナソニックは14年に業界初の4K動画撮影が可能なミラーレス一眼カメラやコンパクトデジカメを発売し、映像製作用カメラも発売した。8K動画は1コマ約3300万画素。開発する8K対応カメラは高性能一眼レフカメラと同等の高精細な静止画を切り出すことができる。このため、小型・軽量が特徴のミラーレス一眼の付加価値をさらに向上できる。
しかし高い処理能力が必要となるため、搭載するLSIは複数になる可能性がある。8K対応品の前にフルハイビジョンの9倍の1コマ約1800万画素の6K対応品や、4K対応でも現状の毎秒30コマを同60コマ、同120コマで撮影できる機種の開発も進める。
映像製作などに使う業務用カメラでも8K対応品を開発する。総務省の8K放送ロードマップでは16年試験放送、18年実用放送、20年本格放送の目標が掲げられており、そこへ照準を合わせる。
―「4Kフォト」が高い評価を得ています。
「動物写真家や風景写真家の方々から『長年撮れなかった貴重なワンシーンが撮影できた』と絶賛いただいて、プロの4Kフォト撮影方法を紹介する冊子を出した。各地でフォトスクールも開き訴求している。25日発売のミラーレス一眼カメラは4Kフォトを新しい連写に位置づけ操作性を高めて、撮影モードも増やした。連写性能が高い一眼カメラで毎秒10コマぐらいだが4Kフォトは同30コマ。シャッターの機械振動によるブレもない。同60コマや8K対応品などを今、仕込んでいる」
―スマホの普及と搭載カメラ機能向上で、カメラ市場は年々縮小しています。市場の状況は。
「低価格なコンパクトデジカメはかなり売り上げを落としている。一眼レフはまだ落ち方が緩やか。一方、ミラーレス一眼は前年比5%ぐらい伸びている。軽量化や高速連写機能などが進化しているからだ。レンズ交換式カメラに占めるミラーレスは約3割で、過半も見えてきた。昨年訪れたカメラ大国ドイツの老舗店などでは5割超で、一眼レフと違って値下がりしていなかった」
―スマホの登場で写真を撮る人は増えました。
「写真文化は右肩上がりで、ネットには1日5億枚の写真がアップされている。このうちスマホ搭載カメラで満足できない人たちが、私も含め3%はいるとみている。最近は山に行くとカラフルで軽量なミラーレスを首にかけた“カメラ女子”も多い。ネット常時接続カメラ『CM1』も高画質が特徴で、今までのようにただ写真をアップするだけとは異なる。常時接続を生かし写真を撮ると地図が表示され、周辺の写真が多く撮られているホットスポット(地域)を知らせたり、共有したりするクラウドサービスを開発する。付加価値とカメラリテラシー(情報活用能力)を高める」
【記者の目/通信との融合訴求前面に】
デジカメ事業ではスマホの影響を受ける低価格機を削減して高級機を重視し、規模を追わない利益重視戦略で2015年3月期に黒字化した。営業利益は約1億円で水面に浮上したばかり。16年3月期は2ケタ利益を計画し、ほぼ高級機にシフトする。それ以上に新しい撮影手法やカメラと通信の融合を訴求する姿勢が強みとなる。
(聞き手=松中康雄)
「8K」対応も開発、2020年までに順次発売へ
パナソニックは画素数がフルハイビジョンの16倍の「8K」動画撮影に対応したデジタルカメラや放送業務用カメラを開発し、2020年までに順次発売する。8K対応に向け、次期画像処理大規模集積回路(LSI)「第10世代高速画像処理ヴィーナスエンジン」の開発に着手した。一般消費者向けと業務用カメラ関連事業を担うイメージングネットワーク事業部は、同4倍の4K対応品を強化している。東京五輪に向け、8K対応品もそろえていく。
パナソニックは14年に業界初の4K動画撮影が可能なミラーレス一眼カメラやコンパクトデジカメを発売し、映像製作用カメラも発売した。8K動画は1コマ約3300万画素。開発する8K対応カメラは高性能一眼レフカメラと同等の高精細な静止画を切り出すことができる。このため、小型・軽量が特徴のミラーレス一眼の付加価値をさらに向上できる。
しかし高い処理能力が必要となるため、搭載するLSIは複数になる可能性がある。8K対応品の前にフルハイビジョンの9倍の1コマ約1800万画素の6K対応品や、4K対応でも現状の毎秒30コマを同60コマ、同120コマで撮影できる機種の開発も進める。
映像製作などに使う業務用カメラでも8K対応品を開発する。総務省の8K放送ロードマップでは16年試験放送、18年実用放送、20年本格放送の目標が掲げられており、そこへ照準を合わせる。
日刊工業新聞2015年06月30日1面& 電機・電子部品・情報・通信面