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パワー半導体、SiCより酸化ガリウム系の方が一気に成長?

富士経済が2030年の市場予測
 富士経済(東京都中央区)は、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の世界市場規模が2030年に17年比8・3倍の2270億円とする予測をまとめた。急速充電や車載充電器向けの需要増が見込める自動車・電装分野の伸びが期待できるという。

 17年の世界市場規模は275億円だった。用途別ではサーバー電源向けが主流の情報通信分野が最も多いが、他の用途分野も伸びるため、市場構成比は徐々に下がり、自動車・電装分野の比率が高まる見通し。エネルギー分野もパワーコンディショナーで採用が進みそうだ。

 一方、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体の世界市場規模は30年に17年比72・2倍の1300億円とした。17年は18億円だったが、参入メーカーが600ボルト帯以上の中耐圧領域向けで製品群を拡充させており、19年以降に市場拡大が本格化する見通し。

 直流(DC)/DCコンバーターやオンボードチャージャーで採用の動きが活発化している自動車・電装分野の伸びが最も期待できるほか、工作機械や医療機器など高周波パルスが必要な電源回路で需要増を見込む。

 酸化ガリウム系パワー半導体の30年の世界市場規模は1450億円(17年は僅少)と予測した。18年後半からショットキー・バリア・ダイオード(SBD)の量産が始まる予定で、本格的な市場拡大を見込む。
                   
日刊工業新聞2018年3月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
 ちなみにデンソーは京都大学発ベンチャーのFLOSFIA(フロスフィア、京都市西京区)と酸化ガリウム製パワー半導体を車載に応用する共同研究を始めている。フロスフィアが手がける次世代のコランダム構造Ga2O3製パワー半導体を、2025年以降をめどに電動車のインバーターなどに搭載する予定だ。デンソーはフロスフィアに出資もした。酸化ガリウムは電力変換効率に優れ、SiCより高性能で、生産コストも抑えられると期待されている。

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