アウトレットにハウステンボス…。脱FITへ売電に頼らない自家消費拡大
ESG投資、CDP、RE100など国際的イニシアティブも後押し
固定価格買い取り制度(FIT)による売電を前提に展開してきた太陽光発電ビジネスに変化が起きている。再生可能エネルギーの活用を評価するESG(環境・社会・企業統治)投資の潮流もあり、発電した電気の自家消費のニーズが増加。太陽光パネルは販売せず、発電した電気だけを家庭に売る事業も生まれている。欧米では政府に頼らないビジネスモデルが移行しつつある。日本でも2019年11月にFITによる売電が終了する家庭が出てくると、FIT依存からの脱却が加速しそうだ。
1月末、DICの鹿島工場(茨城県神栖市)で自家消費用途としては国内最大となるメガソーラーが稼働した。三菱電機が出力1600キロワット分の太陽光パネルを納入した。
17年末には三菱地所・サイモン(東京都千代田区)が千葉県酒々井町で運営するアウトレットモールの駐車場で、太陽光パネルを屋根代わりにしたカーポートを完成した。
同1029キロワットで、発電した電力で商業施設の電力の80%を賄う。販売したオリックスによると自家消費型“メガソーラー”カーポートはまだ国内で2カ所しかないという。
17年度に政府へ申し込んだメガソーラーの売電価格は1キロワット時21円。制度が始まった12年度の半分に下がった。売電事業の魅力が薄まった影響で、16年度の太陽光パネルの国内出荷量は634万キロワットとピークの14年度から30%減った。
17年度は前年度比30%程度落ち込む見通しだ。ただ、通常の電気料金は上昇傾向にあり、太陽光発電による電気の自家消費による節電効果は出やすくなっている側面もある。
一方、FITがない米国では「PPA」と呼ばれる事業形態が主流だ。利用者は家庭で発電した電気のうち、自家消費分だけを電気代として事業者に支払う。売電価格の低下を気にせずに太陽光発電を利用できる。
ハウステンボス(長崎県佐世保市)は17年末、PPAに参入した。同社が太陽光パネルを所有し、10年後に家庭へ譲渡する。日本エコシステム(東京都港区)は3月末までのキャンペーンとして日産自動車の電気自動車を購入し、日本エコと電力契約を結んだ家庭にパネルを無償設置する。
日本がFITの手本としたドイツは14年、再生エネ発電所の売電価格を市場と連動させるFIP(フィード・イン・プレミアム)を導入した。政府が決めた固定価格で売電できるFITから卒業し、自由競争に近くなった。
ドイツは00年にFITを導入し、電源に占める再生エネ比率を27%(水力除く)へ高めた。しかし、固定価格を支えるために国民が支払う賦課金が増し、電気代の上昇を招いた。FIP移行後、太陽光発電のコストを下げる効果があった。
日本でもメガソーラーを新設する事業者が売電価格を提示する入札制度が始まった。だが17年11月の入札への参加は9件のみ。しかも辞退者が相次ぎ、最終的な落札は4件にとどまった。
1月末、DICの鹿島工場(茨城県神栖市)で自家消費用途としては国内最大となるメガソーラーが稼働した。三菱電機が出力1600キロワット分の太陽光パネルを納入した。
17年末には三菱地所・サイモン(東京都千代田区)が千葉県酒々井町で運営するアウトレットモールの駐車場で、太陽光パネルを屋根代わりにしたカーポートを完成した。
同1029キロワットで、発電した電力で商業施設の電力の80%を賄う。販売したオリックスによると自家消費型“メガソーラー”カーポートはまだ国内で2カ所しかないという。
17年度に政府へ申し込んだメガソーラーの売電価格は1キロワット時21円。制度が始まった12年度の半分に下がった。売電事業の魅力が薄まった影響で、16年度の太陽光パネルの国内出荷量は634万キロワットとピークの14年度から30%減った。
17年度は前年度比30%程度落ち込む見通しだ。ただ、通常の電気料金は上昇傾向にあり、太陽光発電による電気の自家消費による節電効果は出やすくなっている側面もある。
一方、FITがない米国では「PPA」と呼ばれる事業形態が主流だ。利用者は家庭で発電した電気のうち、自家消費分だけを電気代として事業者に支払う。売電価格の低下を気にせずに太陽光発電を利用できる。
ハウステンボス(長崎県佐世保市)は17年末、PPAに参入した。同社が太陽光パネルを所有し、10年後に家庭へ譲渡する。日本エコシステム(東京都港区)は3月末までのキャンペーンとして日産自動車の電気自動車を購入し、日本エコと電力契約を結んだ家庭にパネルを無償設置する。
日本がFITの手本としたドイツは14年、再生エネ発電所の売電価格を市場と連動させるFIP(フィード・イン・プレミアム)を導入した。政府が決めた固定価格で売電できるFITから卒業し、自由競争に近くなった。
ドイツは00年にFITを導入し、電源に占める再生エネ比率を27%(水力除く)へ高めた。しかし、固定価格を支えるために国民が支払う賦課金が増し、電気代の上昇を招いた。FIP移行後、太陽光発電のコストを下げる効果があった。
日本でもメガソーラーを新設する事業者が売電価格を提示する入札制度が始まった。だが17年11月の入札への参加は9件のみ。しかも辞退者が相次ぎ、最終的な落札は4件にとどまった。