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就任から1年、「当初の想像と違っていたことは全くない」(昭和電工社長)

森川宏平社長に聞く「(18年は)追い風が強く吹くと期待するのは危険だ」
就任から1年、「当初の想像と違っていたことは全くない」(昭和電工社長)

大分コンビナートのエチレンプラント

 ―2018年の事業環境をどう予想していますか。
 「17年ほどの追い風が吹くかどうかだが、強く吹くと期待するのは危険だ。16年までに事業拡大・事業安定化策を多く打ってきたことに追い風が相まって、17年は潮目が変わった感覚だ。せっかく変わった潮目をしっかりととらえて、さらに前に進めることが18年の課題だ。顧客別では情報関係や自動車関係は成長していく」

 ―その追い風の中心である石油化学の市況見通しは。
 「米シェールの影響はかなりの部分を市場の成長で吸収されると見ている。ただ、大分コンビナート(大分市)は4年に1回の定期修理がある。定修がなくても、18年は前年ほどのスプレッド(利ザヤ)はなくなるが、通常の良い環境下での事業運営はまだ続けられる」

 ―19年12月期からの次期3カ年計画で営業利益累計2000億円を目指す方針を示しました。
 「18年はその2000億円に向けた準備期間だ。現3カ年計画で累計1430億円を示していて、その前の3年間が同約800億円だった。2000億円は追い風を全く考慮しない数字で、基本的にオーガニックな成長で達成できる」

 ―17年10月に同業で電炉用黒鉛電極大手の独社を買収しました。今後はシナジーをどう追求していきますか。
 「変動の激しい電極で利益を安定化することが重要だ。顧客との交渉以外で我々内部でできることは、両社の製造や運営、管理上のベストプラクティスを広げる。欧州、アジア、米国で同じ規模の生産能力を持てるようになって、市場も同規模なのでバランスの取れた形になった」

 ―18年の主な設備投資案件は。
 「成長加速・優位確立事業が戦略投資の中心だ。ほかに大分の定修で少し維持・更新投資も行う。稼働安定化が課題の大分は輸出が多いのが特徴で、もう少し誘導品による自家消費比率を高める必要がある。いつでも出せる開発済みの新規誘導品を複数持っていて、そのうち一つが18年にいけるのではないか」
森川宏平社長

(聞き手=鈴木岳志)
日刊工業新聞2018年1月22日
鈴木岳志
鈴木岳志 Suzuki Takeshi 編集局第一産業部 編集委員
社長就任から1年がたち、ここまで業績面では順風満帆に見える。取材の受け答えも堂に入ったもの。この1年を振り返り、「もともとあまり想像しないたちだが、当初の想像と違っていたことは全くない」(森川社長)と頼もしい。黒鉛電極など無機部門の出血も止まり、より大きな成長戦略を描きやすい環境は整っている。

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