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戌年に「尾を振る犬は叩かれず」

 今年の干支(えと)の「戌(いぬ)」の字は物騒で、鉞(まさかり)など柄のついた兵器の形に由来する。また草木の枯れる状態を指すともいう。犬の字を使うのは、覚えやすいようにという配慮からだとか。

 「犬 犬好きを知る」というだけあり、わが家の駄犬は犬嫌いの人に狂ったように吠える。普段はおとなしいが、犬嫌いの隣人の気配を感じると吠え始める。隣人も知らぬ顔をしてくれれば良いのだが、壁をたたいたりして挑発するため、さらに大きな声で吠えて収まるところを知らない。

 「尾を振る犬は叩かれず」ということわざもある。うるさくすると嫌われるが、従順であれば周囲の人に愛されるということだ。仕事を進める上でも、周囲を味方につけた方が効率が良いのは言うまでもない。

 昨年までの各種の経済指標をみると、人手不足なのに賃金が上がらない、景気は悪くないのにモノが売れないなど経済原理とは異なる事象が目立つ。今年もこうしたカオスの中を生きていくことになろう。

 正月の休み気分も一段落。せわしない日常が戻ってきた。尾を振るごとく愛嬌(あいきょう)を振りまいているだけでは、自分を見失うことになりかねない。犬のような鋭い嗅覚はないが、できるだけ正しい方向を見いだしたいものだ。
日刊工業新聞2018年1月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
幼稚園時代、三輪車に乗っていたら猛然と犬が追いかけてきて、必死で逃げたがお尻をガブリとひと噛み。くっきり歯形が残った。以来、犬に対して恐怖心抱くようになった。近所の親しい友だちが犬を飼っていたのだが、遊びに行くと必ず凄まじく吠えまくられた。自分の気持ちを見透かされたようだった。大人になってだいぶ犬嫌いは和らいだが、今年は調子にのって尻尾をふって誰かに噛みつかれないようにしたい。

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