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地域のけん引役として選ばれた2148社とは?

経産省が「地域未来牽引企業サミット」開催へ
 経済産業省は地域経済のリード役となる中堅・中小企業2148社を選定、公表した。地域の経済産業局に、都道府県別担当者「地域未来コンシェルジュ」を配置。選定企業の相談や問い合わせを一元的に受け付け、政府の補助金や政府系金融機関の融資などを受けやすくする。2018年2月にも「地域未来牽引企業サミット」を開催。選定証の授与や協働の契機を提供する。

 選定された企業は先端技術を持つ製造業だけでなく、Jリーグ加盟のプロサッカーチームや大学発ベンチャー、蔵元、医療法人、街づくり企業など、幅広い業種が対象となっている。

 経産省は帝国データバンクによる企業情報のビッグデータ(大量データ)を活用し、営業利益や従業員数の過去3年間の平均値などを取得。偏差値換算によりスコア化し、総合評価した。また、自治体や商工団体、金融機関などの地域関係者が推薦した企業の地域経済への貢献期待を評価。地域経済を引っ張る企業を選んだ。

 経産省は同時に、地域未来投資促進法に基づき地方自治体が作成した74の基本計画にも同意した。これまでに同意した70計画と合わせ、東京都と神奈川県を除く、45道府県の144の基本計画に同意したことになる。

 18年度当初予算や17年度補正予算でも地域未来投資促進法に関する新たな支援措置を盛り込んだ。自治体から計画承認を受けた事業者に対し、研究開発や設備投資などを補助する。例えば「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(ものづくり補助金)」の採択時に加点措置を行う。

 大企業の好業績が中小企業に波及する「トリクルダウン」効果が末端まで届かないと指摘される中、地域の産業構造を反映した経営効率の高い企業を一層強くする。地方創生の好循環を回す未来志向の政策として成果が期待される。
日刊工業新聞2017年12月25日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
 今の地方創生は外側の支援制度や提言みたいなものは数多いけど、真ん中で自らリスクをとって小さくとも何かを始めてみる人が薄かったり空洞化している。創業支援制度も強化されてきているが、利用して地方で起業している第一位は飲食業、第二位は美容室。これは単純新陳代謝で、新しい業態や働き方が出てきているわけではない。  行政は有識者を集めて地方創生プランを作るが、有識者というのはあくまでオピニオンリーダーであり、自らリスクを賭して何かをやってみる人たちではない。必要なのは、真ん中で自らリスクをとり、オーナーシップをとって何かをやろうという人たたち。このけん引企業たちがぜひそうなってもらいたい。

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